今秋の「ファンドの売り」は少ないかもしれない 日本株の「買い方優位」は変わっていない
金額ベースではこの9月27日までが最新情報だが、調整が進んだ10月を推定して見ると、この日の株数ベースの裁定売り残の買い残に対する倍率は2.75倍(売り残7億1063万株、買い残2億5859万株)、10月2日現在の倍率は2.62倍(売り残7億0943万株、買い残2億7122万株)とそれほど変わっていない。
もう一つ、投資家の強気・弱気を判断するバロメーターとして最適な指標が、日経レバレッジ(強気型)ETFの信用取引の取り組みだ。上昇過程の逆張り執行で空売り残が増加し、買い残の売り残に対する信用倍率は10月2日現在でも0.83倍で、13日連続の逆日歩まで付いている。
つまり、このことから言えることは、騰落レシオをはじめ、テクニカル指標のほとんどに「過熱」のサインが出ていた市場にとって調整は良いことで、買い方・売り方の明暗を分ける現水準は正念場であることは間違いない。だが、買い方が9月高値で買い付いてしまったわけではない。元々、明確な買い材料があった上昇ではなく、引き続きの「売り」「買い」の需給関係から、買い方が十分優位であることは変わっていない。
今年の秋は、「ファンドの決算売り」は少ない?
また、例年10~11月は45日ルール等でファンドの解約売り・決算売りが出ると言われるが、今年は違うようだ。今でもNY株は年初から15%ほど上にあり、買い方ファンドのアメリカ株における投資成果は良好で、解約ニーズは少ない。もし解約があるとすれば売り方ファンドのほうだが、この場合、解約は買い戻して清算するため、日本株にとってはネガティブな材料ではない。
今や、マイナス金利の債券を17兆ドルも出現させてしまった世界のカネ余りは、さらにその規模を拡大しようとしている。典型的なのは、厳格な財政均衡にこだわっていたドイツに政策姿勢の変化が見られることだ。
ドイツ当局は「経済危機が生じた際には500億ユーロ(約5兆9000億円)の追加支出を用意する方向にある」と明言、アンゲラ・メルケル首相も、ドイツ経済が「困難な局面に向かっている」との認識を示した上で、「状況に応じて」対応する、と述べた。11月にはECB(欧州中央銀行)の 国債買い入れも再開され、ドナルド・トランプ大統領の「2兆ドルインフラ投資政策」には、民主党も賛成している。
対して日本企業の自己株買いは、2019年度として初めて10兆円を突破する勢いで、自己株消却も高水準だ。つまり世界のおカネの量はさらに増え、日本の株式の量は減少しているということだ。この関係の中で、株価が下がるわけはないと強く思っている。これから日本企業の7-9月期決算発表が始まるが、アナリストのリビジョンを総合すると、企業業績はそれほど悪くはない。日経平均予想EPS(1株利益)は現在の1750円あたりが底だと見る。
アメリカの重要指標である9月ISM製造業景況感指数が47.8と、予想の50.0を下回り10年ぶりの低水準になり、7−9月期の平均で見ても49.4と、50割れで景気後退懸念が出ているのは事実だ。しかし、8月のISM製造業景況感指数の50割れを織り込み中で、リセッションは寝耳に水の話ではない。以上のことから、今週の日経平均株価の予想レンジは2万1200円~2万2000円とする。ゆっくり行けばよい。
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