中国カーシェア戦国時代、「曹操出行」の実力 ソフトバンク・トヨタと組むDiDiを猛追
中国のカーシェア・ライドシェア市場で地殻変動が起きようとしている。
筆者はこの夏、家族で中国内陸部の古都・西安を旅した。移動手段はタクシーが中心だった。だが、配車アプリ中国最大手で日本にも進出している「DiDi」を使っても、一向にタクシーはつかまらない。代わりに頼りになったのは、日本ではほとんど無名の「曹操出行」(CAOCAO、読み方は「ツァオツァオ」)だった。
「モバイク」や「ofo(オフォ)」などのシェアサイクルを筆頭に、中国ではスマホ充電器や傘など、シェアリングビジネスが急速に普及した。中国政府は2015年秋、「創新(イノベーション)、協調、緑色(環境)、開放、共享(シェアリング)」の5つの発展方針を提唱、国家主導でシェアリング市場拡大を推進してきたことが背景にある。
中でも自動車関連のシェアリング市場の拡大がめざましい。中国の有力な調査会社である艾瑞咨詢(iResearch)によると、中国におけるモビリティサービスのユーザーは2018年時点で約5億人。2020年には6億人超になると予測されている。
ウーバーの中国事業をDiDiが買収
タクシー配車アプリのDiDiと「快的(クアイディ)」は2014年頃から、ユーザーとタクシードライバーへの奨励金合戦を繰り広げ、配車アプリを急速に普及させた。競争を勝ち抜いたのは、一般のドライバーが自家用車を用いて低価格で乗客を運ぶライドシェアを打ち出したDiDiだ。
DiDiはライバルだった快的と合併し、さらにはアメリカの配車最大手ウーバーの中国事業を買収し、業界トップに君臨。昨年秋にはソフトバンクと合弁会社を設立し、配車アプリで日本進出を果たした。今年7月にはトヨタ自動車との合弁設立も発表した。
だが、昨春、ドライバーによる女性乗客の殺害事件が発生。DiDiの安全性に対する懸念や、プラットフォーマーとしての責任を追及する声が一挙に高まった。そこで同社はライドシェアをはじめとする一部サービスを停止するなど、戦略の見直しを余儀なくされている。
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