「フォーエバー21破綻」物語る若年消費の変化 ファストファッションは終焉を迎えたのか
フォーエバー21は成長過程で商品を増やし続け、エイソスやファッション・ノヴァのようなデジタルに精通した競合他社の台頭を予期していなかったようだ。2014年には、1ドル90セントのキャミソールや7ドル90セントのジーンズといった同ブランドの「ベーシック商品」を販売する計画でF21レッドを発表し、また2017年にはチャン副社長と妹のエスター・チャン氏による化粧品ブランドのライリー・ローズをオープンさせた。ライリー・ローズは閉鎖してフォーエバー21の既存店舗に組み込まれることになりそうだが、F21レッドのほうは引き続き独立型店舗として営業を続ける店もある。
チャン副社長は、メンズやガールズといった分野はまだ期待ができるとしているが、インテリア、電子機器、コスメ商品のような分野は撤退するとしている。
立地と新鮮味だけでは勝てない
フォーエバー21の苦闘は、広くファストファッションの訴求力に疑問を投げかけている。ファストファッション業界は、簡単に使い捨てできる衣服が環境に及ぼす影響に対する反発や、衣類関連労働者1100名以上の死者を出した2013年のバングラディシュにおけるラナプラザ・ビル崩壊を受けて巻き起こった労働環境の安全性にまつわる懸念に直面している。
若い買い物客たちはサスティナビリティを価値観として訴える委託商品やブランドに目を向けるようになりつつあると、コンサルティング会社WSLストラティージック・リテールのウェンディ・リーブマンCEOは話す。
フォーエバー21は「ファストファッションがこの先もこれまでの10年ほどと同じように受け入れられ、すべきことはただ適切な立地を選び、これまでしてきたような事業分割で新鮮味を作り出せばいいのだという考え方に賭けていた」とリーブマン氏は話す。「その情緒的、物理的な美は、現在の買い物客たちがそれほど求めていないものだ」。
コロンビア大学ビジネススクールで小売業研究を率いるマーク・A・コーエン教授は、ザラの成功を指摘しつつファストファッションはこれまでと変わらず人気があるとしながらも、フォーエバー21は「分別ある先の見通し」というものを考えずにあまりにも急速に拡張しすぎたのだと話す。
「これは自らが招いた失態だ」と同氏は話す。「これはフォーエバー21の競合相手にとってラッキーともいえるが、こうした競合相手が入っているモールにとってはまた『終わりの始まりの前兆』が増えたことにもなる。すでにシアーズ、メイシーズ、ペニーズが閉鎖し、減少していく客足に日々苦闘しているのだから」。