「フォーエバー21破綻」物語る若年消費の変化 ファストファッションは終焉を迎えたのか

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フォーエバー21は、売り上げの16%がネット販売によるものだとしているが、2016年に44億ドルあった売り上げは昨年33億ドルにまで落ち込んでいる。リストラ後は売り上げが25億ドル程度になると見ている。2016年には4万3000人いた従業員は、足元3万2800人まで減らした。

ドン・チャンCEOは2012年のインタビューのなかで、同チェーンのフォーエバー21という名称は同社が20代をターゲットとしていることに由来しており、「年配の人々は21歳に戻りたいと考え、若い人々は永久に21歳のままでいたいと考える」からだと語った。

チャン副社長によると、同社の顧客基盤の大部分は未成年者で、顧客調査ではフォーエバー21の客の40%は25歳から40歳であることが示唆されている。同社は引き続き商品を50ドル以下に抑えることを目標にするとしている。

タイムズスクエアの店舗はどうなるか

フォーエバー21の破産は、アメリカで客や人気テナントを失いつつある低価格モールと、客足が衰えないショッピングセンターとの間に広がりつつある隔たりを浮き彫りにした。

景気後退前後の何年もの間、フォーエバー21は急激に店舗を増やしていった。こうした店舗は、同社の主要なマーケティングメディアとしての役割も果たした。そして店はしばしば規模が大きいほど成功した。10~20代の女性が顧客の中心ではあったが、フォーエバー21は家族全員に売ることができると信じていた。

マーヴィンズやゴッツチョークスなどの倒産したチェーン店が立ち退いたスペースに入り、大都市に巨大なフラッグシップ店をオープンさせていった。その中には2010年にタイムズスクエアにオープンした9万平方フィートの超大型店舗も含まれ、そこは今でも4階に及ぶ店を展開している(同社はこの店舗の将来について、ビルオーナーと話し合っている最中だとしている)。

同社は資本を温存するために各店舗の9月分の賃貸料を未払いにしているが、破産申請後にアメリカ国内店舗のリース契約の多くについて再契約できると考えているとコンサルティング会社アルバレツ・アンド・マーサルの幹部であるジョン・ゴールディング氏は話す。同氏は今回の破産手続きの間、フォーエバー21の最高事業再構築責任者を務める。閉鎖する店舗の清算は10月31日に始まる予定だが、最終的な数は178を下回るのではないかと同氏は見る。

「ショッピングモールのオーナーの多くは、目下モールで起きていることを考えれば、これだけの規模の店舗を返してもらうことを望んでいないのではないか」と、ゴールディングス氏は話す。同氏は、具体的なデータを持っているわけではないとしながらも、業績の悪い店舗はたいがい、破産した小売業者が入居していた低価格モールに入っているとしている。

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