「博士の卵」半減!科学王国日本の超ヤバい未来 近い将来「ノーベル賞ゼロ時代」が現実となる

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9年間で学費や生活費に2000万円近くの資金が必要なうえ、博士課程を修了しても研究職での安定した就職先がないような状況では、修士課程の学生が博士課程進学を躊躇するのはもっともなことです。

少し古いデータですが、2009年に文部科学省の科学技術・学術政策研究所(NISTEP)が実施した大学院修士課程学生を対象とした意識調査では、修士課程修了後に博士課程進学を希望する学生は12.8%にすぎませんでした。

優秀な学生ほど企業へ

さらに深刻なのは、進学者の絶対数が減っているだけではなく、優秀な人材が逃げていっているという実態です。

NISTEPが毎年実施している「科学技術の状況に係る総合的意識調査」という調査によると、2017年の調査で、第一線で活躍する研究者の74%が、高い能力を持つ人材が博士課程を敬遠している、と回答しています。

記述式では「能力のある人は早く就職」「能力のない人が、それを高めるために博士課程に進学」「就職したくない、できないから博士課程に進学」――などの主旨の回答が多く見られます。

修士課程学生の意識調査でも、修士学生の多くが、「博士課程には優秀な学生が集まっていない」と考えていることがわかっています。つまり、優秀な人ほど、将来の科学者に見切りをつけ、よい条件で企業に就職している実態を示しています。

将来の科学者を育てるはずの大学院博士課程で空洞化が進行しています。進学者の絶対数が減っているだけでなく、優秀な人材ほど逃げていく。つまり、質量ともに劣化しているのが、日本の大学院博士課程の実情です。

このままでは、近い将来、日本から科学者が消えてなくなってしまいそうです。

岩本 宣明 文筆家、ノンフィクションライター

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いわもと のあ / Noa Iwamoto

1961年生まれ。著書に『新聞の作り方』(社会評論社、文藝春秋菊池寛ドラマ賞受賞)、『新宿リトルバンコク』(旬報社)、『ひょっこりクック諸島』(NTT出版)、『がんとたたかう心の処方箋』(光進社)、『ホスピス――さよならのスマイル』(弦書房)などがある。他に共著書多数。近年はブックライティングも手掛けている。

 

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