日本ではなぜ人口減でも大学が増え続けたのか 平成30年間に生まれた大学・消えた大学
まず全体としてはこの間、やはり公立大学の開学が多かったようだ。なお★の長岡造形大学、名桜大学、高知工科大学、千歳科学技術大学、静岡文化芸術大学、鳥取環境大学は先述した公設民営の私立大学で、後に公立化した大学である。
国立大学が法人化した2004年には、秋田県に公立大学である国際教養大学が開学している。ここは、すべて授業が英語で行われ、全員が1年間海外留学必須というグローバル教育を行い、開設当時から話題を呼んだ。2019年現在でも、(THE)世界大学ランキング日本版で10位にランクイン。今や旧帝大系や早慶並みの高い評価になっている。
とくに学生を自主的に勉強させる教育システムを評価する声が多い。24時間開館というコンビニ並みの大学図書館では、深夜でも勉強している学生の姿を見ることができる。授業では英語で意見交換をしなければならないため、予習も欠かせないのだろう。
同じ東北の福島県の公立会津大学も存在感を高めている。地元だけでなく広く受験生を集め、高校教師からの評価も高かった。2011年の東日本大震災を経て、学内に復興支援センターを設けるなど、専門である情報科学だけでなく、地域貢献などの面でも大いに注目される存在となっている。同様に岡山県立大学も、地域活性化のプロジェクト「COC+」で代表大学になるなど、地元大学群のリーダーとして期待されている存在だ。
平成生まれには「個性派」が多い
平成も後半に入ると、今度は医療系を中心にした新設が目立ってくる。超高齢化社会となり、医療のニーズがますます高まったという背景があるのだろう。例えば2017年に開設された5大学はすべてが医療系私立大学だった。
医療福祉専門職の養成と地位向上を目指し、千葉県成田市に医学部新設の宿願を果たした栃木県の国際医療福祉大学も1995年開設で、平成生まれの大学である。2017年にスタートした新医学部入試では、学費を低く抑えたこともあって人気を集めた。また2000年に開学した立命館アジア太平洋大学には海外留学生がとても多く、日本にいながら国際交流ができると評判だ。
このように、平成生まれの大学には個性派がとても多い。その半面、医療系は別にして、開設早々に定員割れした地方私立大学も少なくない。個性のない旧来型学部の新大学ほどますます厳しい時代を迎えつつあるといえるだろう。
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