「トイレが汚い外食チェーン」の株は買うべきか カリスマ投資家Bコミさんの負けない投資術

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こうしてテーマや業種から個別銘柄をピックアップしたら、それを「監視銘柄」として日々の株価の値動きをチェックするわけですが、もうひとつ忘れてはいけないのが、同じテーマでも外需関連と内需関連にグループ分けしておくことです。なぜなら株価を動かす外部要因として、為替レートの値動きが大きく影響するからです。

外需関連企業は、為替が円安になると利益が上がり、また内需関連企業は為替が円高になると利益が上がる。したがって、円安の時は外需関連を中心に、円高時は内需関連を中心にウォッチすれば、獲得できる投資収益を、より大きくできる可能性が高まります。

ただ、多くの人はこう考えたのではないでしょうか。「今後伸びるテーマを見つけたり、セクターごとの業績の伸びに注目したりするのが有効なのは分かった。でも、どのテーマが伸びるのか、どの業種の業績が伸びるのか、何で判断すれば良いのか?」

投資初心者に『会社四季報プロ500』が最適な理由

多くの場合、まずは『会社四季報』を開くと思います。四季報にも毎号「業種別業績展望」が掲載されており、業種毎の動きもチェックできるなどとても便利です。ただ、四季報を活用する際にはいくつか留意点があります。まず、全上場3744銘柄が掲載されているので、すべて読むとなるとかなりの時間を要します。ぎっしりとデータも入っており、そのなかから特に重要な情報を読み取るのには一定の慣れが必要です。つまり初心者が使いこなすには、いささかハードルが高いかもしれません。

そこで私が初心者にお勧めしているのが『会社四季報プロ500』です。全上場銘柄から500銘柄に絞り込んであり、私は毎号通読しています。株価の動いた理由を書き込んだチャートや銘柄特性、本命銘柄については「記者のチェックポイント」など、各銘柄に関する情報が詳述されています。

また、巻頭には最新号の注目テーマの解説と銘柄リストが掲載され、それに関連する企業がどこなのかも、細かく見ることが出来ます。各業種の今来期予想も掲載されているので、銘柄を選ぶうえで強い武器になるはずです。

さらに、全銘柄掲載している進捗率も参考になります。たとえば、この四半期では運送業界でも中堅企業で高進捗が目立ったのですが、ヤマト運輸の値上げの恩恵が周辺にも及んでいることが想像できます。こうした業種は注目してもよさそうです。

ただし、私は情報を集め、銘柄を絞り込んでも、すぐには投資しません。値動きの特性を把握するのと、ここから株価が上昇する理屈がつくれるかが重要だと思っているからです。投資する対象が見つかったら、複数の銘柄をバスケットにして、ウォッチし続けることが「勝利への近道」と言えるはずです。

鈴木 雅光 JOYnt 代表、金融ジャーナリスト

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すずき・まさみつ / Masamitsu Suzuki

1989年岡三証券入社後、公社債新聞社に転じ、投信業界を中心に取材。2004年独立。出版プロデュースやコンテンツ制作に関わる。著書に『投資信託の不都合な真実』、『「金利」がわかると経済の動きが読めてくる!』等。

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