東急田園都市線の混雑は「分社化」で解消するか 沿線就業人口減るが、抜本的な対策は必要だ
通勤人口が減れば混雑率も下がる。この点については東急の沿線開発戦略が大きく影響してくる。
東急は社名変更と同時に「長期経営構想」を策定した。2030年に向けての経営スタンスと、さらにその先の2050年の未来像を描いたものだ。この長期経営構想を読み解くことで、今後の混雑率の動向が予測できる。
日本の人口はすでに減少に転じているが、長期経営構想では東急沿線17市区の人口は2035年ごろまで増え続けると想定している。同時に、田園都市線・溝の口―中央林間間を中心とする多摩田園都市(町田市、緑区、青葉区、都筑区、高津区、宮前区、大和市の7市区)の老齢人口(65歳以上)は、2015年の21%から2045年には35%へ上昇すると予想している。この老齢人口の増加ペースは同期間における東京都の増加ペース(22%から30%へ)よりも急ピッチだ。
就業人口の減少は進む
このデータの出所は国立社会保障・人口問題研究所(2018年推計)。そこで同じデータを用いて、多摩田園都市の今後の就業人口(15~64歳)の変化を調べてみた。その結果は2015年から2030年にかけて4.2%減るというものだった。一方で同時期の東京都の就業人口は0.6%増えると試算されており、減少期に入るのは2045年にかけてだ。多摩田園都市の就業人口の減少ペースは東京都よりも明らかに速い。では、東急は多摩田園都市の就業人口を増やす施策を行うのだろうか
長期構想では渋谷を長期的にも最重要拠点であるとしている。また、横浜・新横浜周辺や五反田・目黒・大井町エリアでは再開発の可能性に言及しており、「沿線重点エリア」という位置づけである。
だが、多摩田園都市はどうかというと、「各事業の基盤地域であり、東急の街づくりのDNA」という位置づけだ。
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