この広告は、2輪車に邪悪なイメージを持っていたアメリカ人に向けて、主婦や親子、若いカップルが生活のパートナーとしてスーパーカブに乗るイラストを提示することで、イメージを一新しようという目的で作られた。目論見は成功し、ホンダの2輪車はクリーンでスマートなイメージを持つようになった。
デザイナーの中には、スーパーカブの4輪版を作りたいという思いもあり、その気持ちがランチョンマットになったという。ホンダはF1に参戦しスポーツモデルを生み出す一方、「N360」や「シティ」などセンスのよい実用品を提供してきた会社でもある。その精神で軽自動車を作ろうという気持ちがあったようだ。
こういう流れの中ではカーデザインにありがちな勢いや迫力は出てこないはずであり、そのための線を使わずに形にできたということなのだろう。でもただシンプルに作っただけでは、無味乾燥な道具で終わってしまう。新型N-WGNにはそうならないための工夫が込められている。
デザインと生産現場の密な連携
一見平板に見えるボディサイドは、実際は緩い曲面を描いている。乗員の肩の位置を盛り上げることでゆとりを表現したあと、下に向けて凹んでいくが、サイドシル付近で再び外に出ている。フェンダーも明確に張り出しているので安定感がある。
マツダ3の記事でも書いたが、ボディパネルはキャラクターラインがあるほうが合わせるのが楽であり、線ではなく面で魅せる形を作るのは大変だという。ホンダの場合もマツダと同じように、デザインと生産現場が密にコミュニケーションを取ることで実現したそうだ。
マツダ3と共通する点がもうひとつある。ドアを開けた際に見えるピラー内側の造形にもこだわっていることだ。ユーザーがドア開けたときに目にする場所であることから、この部分もしっかりデザインした。
フロントマスクは、標準型のそれはかつての軽商用車「ステップバン」を思わせるという声もあるが、それとは別の理由でこのような顔になった。
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