総合商社の未来、資源バブル後の生き残り戦略

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劇的に改善した財務 市場の関心も「非資源」に

しかし現に今、資源価格下落に直面している以上、打撃は避けられない。100億円、場合によっては1000億円単位で資源からの利益が吹き飛べば、非資源でカバーすることは不可能な域に達している。しかも好調だった自動車や化学品の冷え込みは想像以上。ある社長は「実際に考えているわけではないが、ウチとどこかが合併という話になることだって、なくはない」と話す。

では、総合商社はまた冬の時代に逆戻りしてしまうのだろうか。

00年前半と比較すると、財務体質は劇的に改善した。株主資本は当時の2倍から3倍に厚みを増し、安全性を示すネットDER(現預金控除後のネット有利子負債を株主資本で割ったもの)では、かつては10倍超の会社もあったが、足元は悪くて2倍台。三菱商事と三井物産は1倍台を維持している。

株式市場の関心は、資源への一点集中から「09年は非資源での収益基盤拡大」(吉田憲一郎・ゴールドマン・サックス投資調査部マネージングディレクター)に移っている。

そして、多様な事業ポートフォリオを持つ総合商社は、それに応えうる基盤を育ててきている。朝田照男・丸紅社長は「プロジェクトや電力、食料などは底堅い収益が期待できる」と力を込める。それらに資源のような爆発的な利益増は期待できないかもしれない。ポスト資源時代でも、特大ホームランを打てる4番バッターは、やはり資源だろう。

だが、確実にヒットを重ねるイチロー型の非資源事業が厚みを増せば、企業の収益体質は格段に強くなる。資源価格に左右されない下支えになり、再度追い風が吹いたときは、さらなる飛躍を望めるからだ。

※3月16日から5大総合商社各社の戦略を連載します(予定)


(週刊東洋経済)
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