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「ガンダム」安彦作品が描き出す人間たちの実像 アニメ文化はアジアを救うカギとなる

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中島:だから安彦さんが描いた満洲の建国大学のような、混沌のなかで生まれた「虹色のユートピア」をどう言語化できるのか。そういう「大文字のアジア」を今後描いてみたいです。この仕事は、私が死んでずうっと先にもあり続けるアジアへの投機だと思っていますね。

新しいアジア主義的な理想が生まれる可能性

杉田:なるほど。僕も少し前までは、政治や社会にとってサブカルは有効なのか、みたいな考え方だったんですけれど、やっぱりそれは問いが転倒している、ひっくり返っていると思うようになりました。すでに政治そのものが完全にサブカル化しています。もはや「政治とサブカル」という問いの立て方自体が成立しないのではないか。

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例えば、僕は法政大学で中国の留学生たちとひたすら日本のアニメを見るという授業を何年かやってきたんですけど、やっぱりすごいんですよね。彼らの情熱と知識の量。以前は「文化外交なんて夢物語」と警戒していたんですけど、サブカルチャーなどの文化の領域は経済と切り離せないですし、今はアジア的なネットワークがつくられていることを実感しています。

鈴木敏夫さんが言っていたのは、アジア中、世界中に優れたアニメーターたちが国境を超えて活躍し始めているから、ジャパン・アニメーションを外に輸出するっていう考え方がもうナンセンスで、むしろ今後、超国家的なもの、トランスナショナルなもの、もっとわけがわからなくて、すごく面白いものがどんどん出てくる時代になるのかなと。

だから僕らの想像力を超えるような土壌のなかから、新しいアジア主義的な理想も生まれてくるのかもしれない。サブカルチャーの持つそういう可能性を、文化批評を生業にしている人間としては、もっと本気で信じていかないといけない、と最近は思っています。

『ガンダム』が中国ですごく人気を集めていることをみても、今後のアジアのことを考えるうえで、東アジアの近現代史を描いてきた安彦さんの作品の意味は、ますます大きくなるような気がしますね。

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