“超男社会”でデキる女が男をいなすコツ 刑事ドラマに学ぶ女性ボスのサバイバル術

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まず、自分がボスであることを示し、命令に従わせる

見た目は女性らしいが、性格はタフ

正直なところ、第1話を見た時点では、筆者はブレンダがあまり好きになれなかった。なぜなら、あまりにも彼女がオンナオンナしているから!

まず見た目が女性らしさ全開。南部のアクセントが強い独特のしゃべり方はねちっこく、女性特有のきんきんしたところがある(ように筆者には聞こえた)。洋服もいわゆるデキる女風のパンツスーツなどではなく、総花柄のワンピースにカーディガンなど、どこぞのマダム?といったゆるい感じ。色はとにかくピンク系が目立つ。スカートにトップス、アウターと少しづつトーンが違うけどオール・ピンクといった驚きのコーディネートも。カバンだけは黒だが、いつもヒールのある靴で女を捨てていない。ヘアスタイルだって、カールしたロングのゆるふわ系だ。

演じるキーラ・セジウィックは女性らしさにあふれた魅力的な女優で、その女性らしさがさらに強調されたキャラクターとなっている。おじさんたちが一様にバカにし、誰がこんな女に従うもんかと反発を抱くのもやむなしと、筆者はまずは部下たちの心情にシンクロしてしまった。

しかし、ブレンダは見た目とは裏腹に、心底タフな女性だ。チーム全員が出したテイラーが指揮を執る強盗殺人課に戻りたいという異動願いの書類を、着任早々に手渡されて唖然とするブレンダに、ポープは「この任務を降りても君を責めない」と言う。それに対してブレンダは、「安心して。私の仕事ぶりを見せれば、もっと嫌われるから」と言い放つ。何という自信!

さらに書類を手に、チームの面前で名前を読み上げては任務を言い渡し、異動願いの書類を1枚ずつ笑顔でゴミ箱に捨てていく。以後、ブレンダが犯罪現場で各人の名前を呼び、相手に文句を差しはさむ余地を与えず、矢継ぎ早に任務を言い渡すというのが、このドラマでのお約束となる。

このシーンを見たときに思ったのは、こうした状況においてまず必要なのは、お互いの立ち位置、上下関係を明確にさせるということだ。自分がボスであることをきっちりと示し、命令には有無を言わさず従わせる。ここは容赦なく、年上だろうがベテランだろうが関係なく、決然とした態度で示す。上下関係が絶対である警察組織の体質が骨までしみ付いているおじさんたちは、これにはぐうの音も出ないのだった。

毎回、この儀式を繰り返すのを見ながら、言い方は悪いが、なんとなく犬のしつけに似ている気がして、筆者は妙に納得したのであった。

次に、実力を証明する

「ファイナル・シーズン」より

次にブレンダがやらなければならないのは、実力を証明すること。粘り強い捜査に、尋問のプロとして容疑者から事件解決のヒントや自白を引き出す手腕は圧巻で、嫌でも部下たちはブレンダの実力を認めざるをえない。ここがブレンダにとっては、いちばんしんどいところだろう。いくら仕事がデキるといっても、いつも完璧でいられるはずもなく、ミスも失敗もある。だが、ブレンダの仕事ぶりは明らかに優秀で、しだいに部下たちも彼女を認めていく。

もちろん、そう簡単にはいかず少しずつだ。ここが2時間程度の映画と違って、何話も続くTVシリーズであることの醍醐味で、現実の時間経過が信頼関係を築くことの難しさをリアルに伝えてくれる。焦ってはダメなのだ。だが、頑固で昔気質のやっかいなおじさんほど、一度、味方になると頼りになる存在なのである。誰が本当に信頼できる人間なのかは、人種や性別、年齢や肩書きで判断してはいけないことを肝に銘じておきたい。

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