なぜ女児はホームドアの隙間に取り残されたか

海外では車両と密着、日本も見直すべき?

ホームドアは、建築限界をそのまま適用すると車両との隙間が広くなりすぎるので、車両限界に近付けることが許されている。

日本の車両限界と建築限界の概念図(出所:鉄道総研報告2011年1月号)

しかし、日本の車両限界はあくまで静的なもので、動揺などでどれだけはみ出すかは数値化されていないため、ぎりぎりまで車両限界に近付けることはできず、経験上絶対にぶつからない位置までしか寄せることができない。日本の車両とホームドアの隙間が広い根本的な理由はそれである。

一方、海外における車両限界の定義は、日本のような静的な車両限界ではなく、動的な車両限界“Kinematic Envelope”、車両の動揺や横風など外力による傾きを含め、すべての悪条件を考慮した限界である。

したがってホームドアの設置位置は、その動的な車両限界に軌道狂いの許容値を足した位置まで、ぎりぎり近付けることが可能である。車両の動揺を数値化せず、どんぶり勘定で数十cmの余裕を設けるという日本の方法が、鉄道先進国にふさわしい方法と言えるのか問題提起したい。

海外と日本ではホームドアの高さが違う

ホームドアには天井に達するフルハイト(日本は換気のため欄間の部分が開いている)のものと、半分のハーフハイトもの(日本では可動式ホーム柵と呼んでいる)がある。

デリーメトロ・イエローラインのハーフハイトのホームドア(筆者撮影)

日本はハーフハイトが圧倒的に多く、海外はフルハイトが多いが、日本と海外のハーフハイトを比較して感じるのは高さの違いである。日本は胸の高さだが海外は目の高さが一般的である。日本ではドアの上から手や顔を出したり、乗り越えて線路上に飛び降りて自殺したりした例もあるが、目の高さならそれらに対する防止効果が高い。

日本のハーフハイトの高さが低い理由はいろいろあって、車両との隙間が広いことも理由の1つだが、日本では既存のホームにドアを設置するケースが多く、補強工事を施す必要があることが大きな理由である。すなわち、ホーム上の群衆がドアを押しても倒壊しないためには、高さが低い方が梃子の原理で基礎にかかる力が少なく、早期普及を図るためには高さで妥協して補強工事を簡単にする必要があったわけである。

また、車掌が乗務する日本の特殊事情(海外のメトロはワンマン運転が一般的)も関係し、車掌に目視でのホーム監視を義務付けると、ホームドアは高くできない。

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