なぜ女児はホームドアの隙間に取り残されたか 海外では車両と密着、日本も見直すべき?
今回事故が発生したリニモ藤が丘駅のホームドアは、車両との隙間が約35cmあるという。
一例として東京メトロの例を挙げる。東京メトロでは、駅ホームの構造にもよるが、どの駅でも車両とホームドアの間にはある程度の隙間がある。
しかし、東京メトロのホームドアには、赤外線を用いて人が取り残されたことを検知するセンサーが設置されている。
一方シンガポールメトロは、車両との隙間が最も狭い下部で10cm未満、ホームドアの下部は三角形に張り出していて、人が取り残されると物理的に閉まらないようになっている。
筆者は4年前からインドに住み、建設中のメトロの車両コンサルタントとして仕事をしている。インドをはじめ海外のメトロのホームドアを見る機会も少なくないが、車両とホームドアの隙間が日本ほど広いところは見た記憶がない。
エレベーター並みの隙間も
どこも可能な限り車両に接近してホームドアを設置し、人が取り残される空間ができないようにしている。
香港メトロ空港線では、車両側がプラグドア(戸袋がなく外へ飛び出て開くドア)ということもあるが、エレベータ並みの隙間である。
車両と地上の建造物が接触しないよう、車両断面の最大を示したものを車両限界、建造物断面の最小を示したものを建築限界という。地上の建造物は地震や樹木などを除けば動揺することはなく、建築限界は一義的に決まる。
一方、車両は動揺したり外力で傾いたりするので、車両限界は静的な限界か動的な要素を含んだ限界かで定義が違ってくる。日本で車両限界といえば前者、静的な限界を指す。なお、車両限界・建築限界とも直線上での定義であり、曲線による横方向の張り出しは別途修正する。
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