丹羽宇一郎・地方分権改革推進委員会委員長--税源移譲は必ずやる、そうしないと分権は失敗だ 《特集・自治体荒廃》

--義務づけ・枠づけが廃止されると、ナショナルミニマム(国が保障する最低生活水準)が実現できなくなる懸念はありませんか。

ナショナルミニマムが全国一律である必要はない。地方の10万円と東京の20万円では、地方のほうが豊かな生活ができるかもしれない。生活保護もバラバラでいい。

地方政府に任せたからといって、生活扶助を一切やめます、といったことは許されません。ひどい政策をやったら知事が落選するし、県会議員も落選する。だから、それは杞憂だと思うのです。

地方自治をやったら必ず住民にとってプラスになる。やったことが住民に直接影響を与えます。そうすると、地方議会がものすごく重要になる。今度は議会のあり方を変える必要が出てくる。その先に何が起きるか。中央省庁の仕事が減れば、国会議員の数は当然少なくしなければいけない。分権が実行されれば、そこまで進んでいかざるをえない。

--将来はやはり道州制が必要ですか?

最初から道州制ありきではない。まず地方と国のやることを決め、人とカネも動かす。県単位ではできないことは広域連合の知事が協議する。その先に必要なら道州制になる。

--分権は地方再生につながる?

もちろんそうですよ。これまで国は地方に魚を渡してきた。魚は食べたら終わりでしょ。でも今度は釣りざおを渡す。地方に任せればいろいろなアイデアが出てくる。たとえば「徴農制」とでも呼びましょうか、国立大学の学生に単位の一つとして農水林業、あるいは介護の実習を課すといったことも考えられますね。地方に自治が戻り、カネと人がついてくれば、地域産業は活性化する。

--前回の分権委と違って、今回の分権委は内閣の尊重義務がついていません。

ついていなくても、勧告をして、その都度閣議で決定していただいています。4~5月には最終的な勧告をして、それに基づいて来年春までに法律を作る。今、分権をやらないと日本は本当にだめになります。

地方が不安に思っているのは本当にカネをくれるかということ。それは保証します。もし政府がそうしなければ、分権は失敗する。仕事に人とカネがついてこなければ、地方は断っていい。委員長がそう言っていると書いておいてください。

にわ・ういちろう
1939年生まれ。62年名古屋大学卒業、伊藤忠商事入社。主に食料部門を歩む。98年社長、2004年より会長(現職)。地方分権改革推進委員会委員長のほか、成長力底上げ戦略推進円卓会議議員、日本郵政社外取締役、NPOでは日本プロ農業総合支援機構理事長など、社外でも活躍。

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