ゾゾ離れ一服でもZOZOの視界が晴れない事情 新たな事業や中国再進出を打ち出すが…

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PB事業を路線変更したかたちで今期始めるのが、出店ブランドと協業して多様なサイズの商品をゾゾタウン上で販売するMSP(マルチサイズプラットフォーム)事業だ。顧客に自身の身長と体重を入力してもらい、その情報を基に20~50サイズの中から最適なサイズの商品を届けるサービスで、今年の秋冬シーズンに約100のアイテムの販売を予定している。

第1弾として今8月2~5日の4日間、「アース ミュージック&エコロジー」のニットやワンピースなど15アイテムの予約販売を行った。

この事業はどこまで協業ブランドを増やせるかがカギを握るが、現時点で公表されているのは、アースのほかジャーナルスタンダード、アーバンリサーチなど10数ブランドに限られている。

ZOZOの今期計画でもMSP事業の取扱高目標は10億円(ゾゾタウン事業は約3500億円)と、かなり控えめだ。ゾゾタウンに出店する大手アパレルの幹部は、「数十サイズの中からぴったりなものが欲しいという需要はごく一部だろう。それにゾゾ限定のサービスなので、ブランド全体の売り上げ押し上げ効果が期待できない」と参画に及び腰だ。

今年中に中国に再進出へ

また、ZOZOは今年中にゾゾタウンの中国再進出を計画していることも公表。前澤社長は以前に、「中国には35兆円ものファッション市場があり、ゾゾタウンがターゲットとする10代後半から30代の層の洋服に対する思いが非常に熱い」と話し、中国事業の拡大に期待を寄せていた。

確かに中国はネット通販が浸透した巨大市場だが、アパレルにとっては世界中のカジュアルブランドなどが群雄割拠する競争の厳しい市場でもある。「日本発のブランド」を訴求して集客できるような生易しい環境ではなく、実店舗では撤退する日本のアパレル企業が後を絶たない。

「ネット通販で圧倒的知名度を誇る(アリババが展開する)Tモールに、すでに出店している日本のブランドも多い。現地で知名度の乏しいゾゾタウンで売るだけのメリットをブランド側に打ち出せるのか」と、業界関係者の間には先行きを不安視する声もある。

独自のサービスやプロモーションで、「服はネットで売れない」という常識を打ち破ってきたZOZO。既存のゾゾタウン事業を超える新境地を開拓し、再び常識を覆すことができるのか、正念場を迎えている。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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