ゾゾ離れ一服でもZOZOの視界が晴れない事情 新たな事業や中国再進出を打ち出すが…
今第1四半期決算では「ゾゾ離れ」が相次いだ前期末から状況が転じ、出店ショップ数が再び増加傾向にあることを報告。ここ最近は四半期ごとに、自ら事業の動向を説明していた前澤友作社長も、今回は説明会を欠席する“余裕ぶり”だった。
一見、リスク要素は払拭されたかのように見えるZOZO。だが、説明会では、市場関係者からゾゾタウンを中心とした商品取扱高の伸びの鈍化について質問が集中した。
同社の2019年度第1四半期(4~6月)の商品取扱高は、前年同期比で12.5%増の792億円。伸びてはいるものの、前期は約2割増、前々期は約3割増と伸びてきた勢いと比べれば、失速した印象は否めない。直近1年以内に1回以上買い物をした人の数を表す「年間購入者数」に至っては、わずかな減少に転じている。
売り上げが前年割れする出店ブランドも
ゾゾタウンに出店する複数のアパレルブランド幹部は、「自社で発行するクーポンを抑制したことやゾゾ自体の集客力の衰えもあってか、今期に入ってから(当社ブランドのゾゾでの)売上高が前年割れの状況」と明かす。こうした状況について栁澤副社長は「(4~6月は)プロモーションをほとんどやらなかったため、新規の会員獲得数が鈍化した」と説明した。
2004年にゾゾタウンの運営を始めて以降、ZOZOはファッションECの先駆者として、アパレルのネット通販市場でかなりのシェアを取ってきた。2016年に支払いを最大2カ月先延ばしできる「ツケ払い」、2017年に客が自由に送料を設定できる「送料自由化」、そして2018年にはゾゾスーツの配布と、話題性のあるプロモーション施策を打ち出して新規顧客をつかんできた。
一方で、国内アパレル市場全体が漸減傾向にあるうえ、最近はアパレルブランド各社が自社サイトの強化に乗り出している。急速な勢いでシェアを拡大してきただけに、ゾゾタウンの取扱高が鈍化するのは自然な流れとも言えるが、これまでのようなキャッチーなプロモーションだけでは顧客開拓は限界を迎えつつあることも確かだろう。
ところが、将来の収益柱として期待したPB事業が事実上頓挫した今、それに代わる第2の柱となりうる新事業を明確に打ち出せていないのが現状だ。
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