日立「英国新幹線」ひと安心、受注得て生産継続 英国中東部向けの高速鉄道車両165両が内定

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さて、今回アベリオUK向けに製造する高速鉄道車両はIEP向けの高速車両「クラス800」をベースに造られる。電化区間と非電化区間の両方を走れるバイモード仕様であり、客室内はWi-Fiや電源コンセントを完備している。

アベリオUK社向けに製造するクラス800のイメージ(画像:日立製作所)

クラス800は電化区間のみを走るクラス801、エンジン出力を高めて非電化区間における長距離運転を可能にしたクラス802といったラインナップがあり、これらは「AT-300」というブランドで日立が開発した都市間高速車両がベースになっている。

AT-300はIEPのほか、イングランド北部とスコットランドの各都市を結ぶトランスペナイン・エクスプレス社、ロンドンとイングランド北東部の港町キングストン・アポン・ハルを結ぶハルトレイン社などにも納入されている。さかのぼれば、日立の英国快進撃の嚆矢となったクラス395もAT-300が基になっている。

大量生産でコストダウン

現在のニュートンエイクリフ工場はクラス800シリーズの生産に適したレイアウトになっているという。つまり、アベリオUK向けのクラス800もレイアウトの変更なしに生産に着手できるというわけだ。

トランスペナイン・エクスプレス社向けのAT-300。完成前の塗装だ(記者撮影)

同タイプの車両を大量に造り続けるわけだから1両当たりの製造コストも下がっていくはずだ。従って英国内でクラス800シリーズをさらに車両を売り込む場合、価格競争力はますます高まる。

ニュートンエイクリフ工場で造られる車両は、まず、笠戸事業所で車両の溶接や重要部分の組み立てが行われてから英国に運ばれる。下松市では7月14日にIEP向け高速鉄道車両の陸送を昼間に行うイベントを行った。IEP向け車両の生産はこの車両がほぼ最後だったため、「クラス800の陸送はこれが見納め」とも言われていたが、今回のアベリオUK向けをはじめとして、これからもクラス800の雄姿を日本でも見ることができるかもしれない。

大坂 直樹 東洋経済 記者

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おおさか なおき / Naoki Osaka

1963年函館生まれ埼玉育ち。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。生命保険会社の国際部やブリュッセル駐在の後、2000年東洋経済新報社入社。週刊東洋経済副編集長、会社四季報副編集長を経て東洋経済オンライン「鉄道最前線」を立ち上げる。製造業から小売業まで幅広い取材経験を基に現在は鉄道業界の記事を積極的に執筆。JR全線完乗。日本証券アナリスト協会検定会員。国際公認投資アナリスト。東京五輪・パラにボランティア参加。プレスチームの一員として国内外の報道対応に奔走したのは貴重な経験。

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