アメリカ、中国をついに為替操作国に認定 ムニューシン米財務長官が声明を発表
[ワシントン 5日 ロイター] - 米政府は5日、中国を為替操作国に認定した。中国が10年超ぶりの元安水準を容認したことを受けた措置で、米中の貿易摩擦は激化の様相を強めた。
米財務省は5日夜、1994年以来初めて中国を為替操作国に認定したことを明らかにした。これにより、二国間協議の正式な手続きが始まる。トランプ米大統領は就任時の約束を果たしたことになる。
財務省は声明で「認定の結果、ムニューシン財務長官は中国による不公平な競争を排除するため、国際通貨基金(IMF)に働き掛ける」とした。
IMFは現時点でコメントを出していない。
米株式市場の引け後に発表された財務省の声明を受け、S&P総合500種指数先物<EScv1>は一時1%超下落。ドル指数<.DXY>も下落し、金<XAU=>は6年ぶり高値を付けた。
中国は5日、1ドル=7元を超える元安を容認した。また、米国の農産品の購入を一時停止すると発表し、米国との貿易摩擦をエスカレートさせた。
中国を正式に為替操作国に認定する前も、トランプ大統領はツイッターで、中国は為替操作をしていると非難していた。「中国はほぼ史上最低の水準まで通貨を下落させた。これは『為替操作』だ。FRBよ、聞いているか?これは重大な違反行為で、いずれ中国を著しく弱体化させることになる!」と投稿した。
人民元急落の背景には、トランプ米大統領が1日、中国からの輸入品3000億ドル分に制裁関税を課す意向を示し、米中の「休戦」を突如破ったことがある。
米財務省は、中国人民銀行(中央銀行)の5日の声明により、中国当局が為替相場を大いにコントロールしていることが明白になったと指摘。「為替操作の豊富な経験があり、継続的に操作する用意があることを人民銀は公然と認めた」とした。
また、中国の行為は競争的な通貨切り下げを自制するとした20カ国・地域(G20)諸国の約束にも違反すると批判した。その上で、中国が約束を守り、競争的な目的で為替相場をターゲットにしないことを期待すると表明した。
米国の法律では、主要貿易相手国による為替操作の判断基準として、多額の経常黒字、大規模な対米貿易黒字、継続的かつ一方的な為替介入の3つを定めている。
米財務省は為替操作国に認定した国との間で、通貨の過小評価是正に向けた特別協議を求めることが義務付けられている。
米財務省やIMFで高官を務めたマーク・ソーベル氏は、おそらくトランプ大統領がムニューシン財務長官に認定を指示したのだろうとの見方を示した。その上で「中国を為替操作国に認定するのはばかげている。単に関税を上乗せしたいなら別だが、有意義な対応手段はいっさい持ち合わせていない」と指摘した。
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