SNSで疲弊している人は「名言」を読むといい 齋藤孝が選ぶ「心を支える日本人の名言」
名言は心の砦になります。雪崩のように心が崩壊するのを食い止め、漏電のようにつねにエネルギーが消耗されていくのを防ぎます。名言を自分のものとするには、まずしっかり自分に刻み込むことが必要です。
「これは」と思う言葉に出合ったら、その場で声に出して何回か読みます。言葉の持つリズムとともに、身体で覚えるような感覚です。そのときのコツは、感情を込めることです。
例えば、宮本武蔵の「遠き所を近く見、ちかき所を遠く見る事」は、刀を持った武蔵になったつもりで、構えながら言ってみる。自分なりのイメージで構わないので、少々大げさなくらいに感情を込めて言うとインパクトが出ます。「読んでいる」というより、「体験している」感覚になります。
そして、日常生活の中で使っていく。引用したり、判断基準としつつ行動したりして、使うのです。そうする中で、名言は心を支えるものになっていきます。
齋藤孝が選んだ名言の一部を紹介
赤塚不二夫
『天才バカボン』(『週刊少年マガジン』講談社)
バカボンのパパの口癖より
バカボンのパパは「〜なのだ」と言い切ります。「〜なのだ」という断言は、自分の態度やポジショニングを明確にします。責任も生じる。だから多くの人は「〜であると思われる」「〜ともいえるかもしれない」「〜みたいな」などと言って逃げを用意したくなるものです。ところが、バカボンのパパはいつも断言する。腹が据わっているのです。
その場その場の状況における自分の態度を明確にし、「これでいいのだ」と行動を加速していくすごさ。こんなに断定し、肯定し、突き進む日本人がほかにいるでしょうか。
「これでいいのだ」と言うと、勢いがついて先に進める。自分を肯定し、状況を肯定して前に進むのです。肯定するからエネルギーがでます。そして状況を好転させていくことができます。
西郷隆盛
『氷川清話』(勝海舟・著 講談社学術文庫)より
時は1868年。薩長を中心とした討幕軍の代表が西郷隆盛。徳川慶喜の首を取るまで気が済まないぞと言わんばかりの、血気盛んな武士たちが江戸城に向かいます。
片や幕府側の代表が勝海舟です。勝は西郷へ会談を申し込みます。かくして、西郷隆盛と勝海舟のトップ会談が江戸の薩摩藩邸で行われました。勝は、江戸城は明け渡すから、戦はやめてくれ、徳川家も存続させてくれといいます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら