JR東の新たな一手、英国で「日本流」は根づくか

駅ナカ自販機を設置、鉄道運行面では課題も

英国は日本のように24時間営業のコンビニが街のあちこちにあるわけではない。日曜日に閉まる店も多い。利便性、効率性に対する考え方が英国と日本では違う。したがって、日本人が便利だと考える駅ナカ自販機が英国に普及するかどうかは未知数だ。

日本式の「駅ナカ自販機」が設置されたバーミンガムスノーヒル駅(記者撮影)

ただ、”日本流”が全く受け入れられないというわけでもない。英国では最近、主要駅のリニューアルを契機に、駅ナカに小売店や飲食店を設置する例が目立ってきた。駅ナカの商業展開は日本と比べれば20~30年は遅れているが、英国の鉄道業界でも着実に根付きつつある。便利だとわかれば、自らを変えていく力が英国にもある。

現地には現地のやり方がある

では、本業の鉄道事業では、JR東日本のノウハウは現地の鉄道運行に生かされているのだろうか。JR東日本が英国でも普及させたいと考えているノウハウの1つが「指差喚呼」。信号や標識の状態を声に出し、指で差して確認する日本ではおなじみの行動だ。単なる目視と比べ安全性は格段に高まる。だが、英国をはじめ世界の鉄道業界ではほとんど普及していない。

JR東日本が2018年9月にドイツで開催された国際鉄道見本市「イノトランス」で披露した指差喚呼(記者撮影)

JR東日本が英国に進出してわかったことは、「現地には現地のやり方がある。われわれのようなよそ者が頭ごしに指示しても、うまくいきません」。JR東日本国際事業本部の大森健史・海外鉄道事業部門長はこう話す。

現地のやり方とは何か。例えば、英国では “先取り喚呼”と呼ばれるヒューマンエラー対策が実践されている。指差喚呼は今見たことを口に出すのに対して、先取り喚呼とは、これからやろうとしていることを口に出して意識レベルを高める手法だ。

例えば「注意信号現示」の区間を走行中に、ほかの作業に気を取られて、次が停止信号であることを忘れてしまうことがないよう、「赤、赤」とか「次は停止」と口に出しながら運転する。これは単なる習慣の違いだけでなく、信号の取り扱いが英国と日本ではやや違うため、先取り喚呼が有効に機能するという理由もあるという。

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