名門コースが目の前に!ゴルフ練習場の凄い進化 トップトレーサーなど最新システムを導入

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その1つのスイング碑文谷は3階建ての83打席で、3階に取り付けた6台のカメラでボールを捉え、全打席でこのシステムを楽しめる。若い利用者の声を聞くと「ただ練習するだけでなく、ゲーム感覚で楽しめる。“みんゴル”よりも実際に球を打つので面白い」とスマホゲーム世代には画面操作を含めて受け入れられていた。ゴルフ界の課題である若者層の獲得の武器になりそうである。

スイング碑文谷でトップトレーサーとともにプレーする利用者たち(写真:角田慎太郎)

筆者も実際に体験してみたが、距離も正確で、ペブルビーチの海に向かっていく7番ショートホールを楽しめる。また9ホールを30分程度でプレーできるので、忙しい現代人にとって時短にもつながる。

導入した施設側も、本格的にコースをプレーしたりゲームを楽しめるので、従来の1人1打席ではなく、ボウリングのように複数人で1つの打席を使ってもらえる可能性もあり、施設側にとっても効率化できそうだ。

世界全体でもゴルフ人口が減少していることに対して、社長のBEN氏は「ゴルフが従来のゴルフ場で18ホール回るという定義でなく、トップトレーサー・レンジのような新しい技術でゴルフの楽しみを提供すれば、移動やプレーに時間がかかる、お金がかかることを解決できる。とくに若いファミリー層などが興味をもってくれればゴルファーは間違いなく増える」と自信をのぞかせていた。

スイング碑文谷に導入されているトップトレーサー(筆者撮影)

ただ、システムの導入については、カメラ、モニター、LANを使った環境が必要であり数千万の費用がかかる。日本では施設費用はGDOが負担し、ゴルフ練習場はソフト利用料として、打席ごとの固定費とプレーヤーの利用料金制でビジネスを展開するとのことである。

練習場関係者にこのシステムについて聞くと「ゲームなど新しい楽しみ方ができてゴルフ層の拡大につながる。ただ、導入費用がまだ高いので、その点が改善されるとさらに拡大につながるのではないか」と期待を込めていた。

トラックマンもゴルフ場に普及している

このシステムには競合相手もいる。プロやゴルフ用品メーカーがクラブ軌道や弾道を計測するため使っている、2003年にデンマークで開発された「トラックマン」だ。

フルヤゴルフガーデンには「トラックマン」が導入されている(筆者撮影)

このトラックマンは練習場用のシステムを展開し始めている。ドップラーレーダーを使用してボール弾道を計測するシステムで、100ヤードで誤差30cm以下という精度の高さで、プロの愛用者も多い。

それを練習場に応用したのが「トラックマンレンジ」で神奈川県相模原市のフルヤゴルフガーデンにアジアで初めて導入されている。

ゴルフ練習場から発信されている、ゴルフの新しい流れから目が離せない。

嶋崎 平人 ゴルフライター

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しまさき ひらと / Hirato Shimasaki

1976年ブリヂストン入社。1993年からブリヂストンスポーツでクラブ・ボールの企画開発、広報・宣伝・プロ・トーナメント運営等を担当、退職後、ライターのほか多方面からゴルフ活性化活動を継続。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。

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