花王「アタック」が32年間も首位を譲らない理由 衣料用洗剤王者、新商品「ZERO」の着眼点

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今回の「アタックZERO」は、ふだん“あおり系表現”を好まない会社にしては珍しく、メディア向け資料でも「花王史上最高」や「日本のお洗たくをリードしてきたアタック」という言葉が並ぶ。それだけ自信のある商品なのだろう。

かつて「ひと晴れ2億円」という言葉を聞いた。「晴れて暑い日になると洗濯機を回す家庭が増え、花王商品の売上げが1日で2億円になる」という意味だ。

今年はようやく7月も終わりに近づいたタイミングで「梅雨明け宣言」が出た。東京地方は「7月16日まで20日連続、都心で日照時間3時間未満」だったという。関係者が期待するのは、梅雨明けして「晴れた日が続く夏」だ。衣料用洗剤は夏の最盛期に数字を上げないと、冬に取り戻せるような商品ではないからだ。

「新商品は発売日から改良品」

最後に、衣料用洗剤は、各メーカーがしのぎを削る激戦市場だが、消費者の満足度は決して高くない。例えば「靴下のニオイが取れなかった」など、不満を持つ人もいる。そもそも「家庭で洗う洗濯物はこんなもの」という、諦めに似た意識もある。

「アタックZERO」も、インターネットの消費者レビューを見ると、「アタックネオのほうがいい」という声も目立つ。こうした声と向き合い、今後は何をどう変えていくか。

花王社内には「新商品は発売日から改良品」という言葉もある。新商品の発売は製品開発としては1つのゴールだが、消費者の満足に応える活動ではスタートだ。「これで十分」と思えば進化も止まってしまう。次の改良に取り組む先にこそ、首位ブランドの浮沈がある。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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