独断で選ぶ「私鉄特急」、東の横綱級がずらり ロマンスカーにAE形、各社の代表列車が登場

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ここまでの車両は、すべて運賃のほかに料金を必要とする列車用だった。でも、この電車だけは、平日朝夕の特定列車を除けば、普通運賃だけで乗ることができるのだ。

“特急”という種別なのに料金を必要としない列車は、ほかの路線にも存在する。けれど、この2100形は特別である。なぜなら、ほかでは日常的に“各駅停車”や“急行”に使われる車両が、単に“特急”を名乗るだけなのに対して、京急2100形は“快特”という、特別な種類の列車で使うために開発された車両だからである。

どこが特別なのか。それは、京急の一般的な電車では、ドアが片側に3枚あって車内にはレール方向に長いロングシートを設けているのに対して“特別な種類の列車用電車”のドアの数は2枚で、シートは進行方向を向いて座るクロスシートを設けている。ここが最大の違いである。

特急料金無料でがんばる、京急2100形

21世紀の到来を目前に控えた1998年、その伝統を引き継いだ2100形がデビューした。

ドアの数が少ないのが特別な車両の証しである。写真は内外ともにリフレッシュ工事完了時の姿(京急ファインテック久里浜事業所、2013年9月20日/筆者撮影)
進行方向に向かって座るシートは“旅気分”(京急ファインテック久里浜事業所、2013年9月20日/筆者撮影)

発車時に特徴的な音階を奏でることから“ドレミファ電車”などとも呼ばれることになった、ドイツのシーメンス製制御装置を採用するなどの、新たな話題も提供しつつ。

その後、客室のリフレッシュ工事と同時期に、制御装置は日本製の機器に取り替えられてしまい、特徴の1つが失われてしまった。けれど、客室設備には大きな変更を加えられることなく、20年を経た今日も、京浜間ではJRに伍して「いだてん走り」を見せ、三崎半島では海への楽しみを乗せて走り続けている。

近い将来に予想される各駅へのホームドア設置によって、この電車の扱いはどのように変化するのだろうか、ホームドア側に工夫が盛り込まれるのだろうか。大いに気になるところである。難関を乗り越えて1日も長く活躍が続くことを願っている。

前里 孝 シリーズ書籍「レイル」編集主幹

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まえさと たかし / Takashi Maesato

1953年、大阪生まれ。幼いころに三線式Oゲージ鉄道模型を買い与えられて以来、現在までずっと鉄道の趣味にのめりこんでいる。のみならず鉄道に関連する地理、歴史、建築、土木、経済などの分野にも関心が拡がる。仕事面では、長年にわたり株式会社エリエイで鉄道趣味出版物の編集および販売業務に携わってきた。現在は同社顧問。シリーズ書籍「レイル」編集主幹。

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