この夏、任天堂とJALのCMが描いた「シズル感」 消費者の心に刺さったCMにはどんな特徴が?

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

5人が趣向を凝らした格子や縁起物の屋根飾りを見つけながら「いい風吹いてきたな」「新しい時代、楽しみだね」と未来に向けたポジティブなメッセージで締めくくる。

彼らが日常を離れ、リラックスして仲良く旅を楽しむストーリーで「このCMを見るたびに旅行に行きたくなります!」「旅するっていいよなと思わせてくれる」「この場所に行き、いろいろな物を見てみたいと思った」などと共感をするモニターコメントが見受けられた。

「その先にある幸せ」をイメージできるか否か

日々多くのテレビCMを見ていると、商品やサービスによって得られる一次的なメリットをアピールするものが大半だ。例えば食品ならおいしさや簡便性、洗剤なら汚れ落ちのよさ、銀行なら融資の条件やスマホ対応の利便性といった具合だ。商品特性をわかりやすく伝えることは広告の最大の使命だが、消費者にとっては商品がもたらす心の動き、つまり“その先にある幸せ”をイメージできるか否かで視聴後の行動が大きく変わるのではないだろうか。

良い例がアマゾンジャパンのCMで、注文した商品がすぐに届くというメリットをそれによって叶えられる小さな幸福に焦点を当てて描いている。転倒によるけがを防ぐリュックを背負った赤ちゃんを映すCMや、愛犬との暮らしを楽しむ男性を描いたCMなどが好評で、長くヒットを続けている。

トヨタの『カローラ スポーツ』はスポーティーなデザインや走行性能のよさ、きめ細かなサービスを実現した“新世代ベーシック”カーだ。CMは菅田将暉と中条あやみが『風になりたい』や『あなたに』を歌いながらドライブデートを楽しむ姿を映すもので、機能説明をする自動車CMが多い中、ドライブの楽しさという車に乗る根源的な喜びをシンプルに描いたクリエイティブが高評価を獲得した。

広告である以上、商品が企画の中心にあることは不可欠だ。しかし、だからといって商品の機能や開発背景ばかりを伝えようとするCMでは消費者の心は動かない。本田宗一郎は研究所とは技術ではなく人間の研究をするところと説いていたという。

CMも同様に、商品をストレートに訴求するだけでなく、商品を通じて得られる消費者の最終的なベネフィットやライフスタイルに焦点を当てることが、そのブランドとユーザーとのより豊かな関係性を育む近道ではないだろうか。

次ページ【表】作品別CM好感度ランキングTOP30
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事