東大生の親に「お受験ママ」が異様に少ないワケ 強制でも放任でもない「3つの親力」とは何か

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調査の中でいちばん印象的だったのは、東大生の親は子どもに「自分で考えさせている」ということでした。

東大生の親は何事も「強制」しない

親力1:自分で考えさせる

「勉強しろ」にとどまらず、東大生の親は「これをしなさい」「あれをしなさい」と子どもに話すことはあまりないそうです。「何かをしろと言われたこと自体がそんなにない」と、多くの東大生が話してくれました。

しかし、では子どもに何も求めなかったのかと言うとそうではなくて、「上から目線で教えたり、命令するのではなく、そこまでの道筋を示す」パターンが多いことがわかりました。

例えば中学受験の時に、「この学校に行きなさい!」と言われたという東大生は少なく、「この学校だったら、こういうこととか、こういうことができるらしいから、きっと楽しいんじゃない?」と、暗に道を示してもらったという東大生が多かったです。

また、「これはこういう名前なんだよ、覚えなさい」とただ教えられたのではなく、「これって、どういう意味なんだと思う?」「なんでこういう名前なんだと思う? 一緒に考えてみよう!」と、必ず自分で考えさせてもらえたという東大生が多かったです。

つまり東大生の親は、受験も勉強も、日常生活のさまざまな場面で、「自分の頭で考えて行動する」ことを支援していたのです。

たとえ暗に答えが示されていたとしても、自分で考えて、そのうえで自分で選択した物事のほうが、人間は結果を出しやすいです。

人間の行動を「強制(人から言われてやる)」と「自発(自分からやろうと決める)」の2つに分けたときに、人間は「やれ」と強制されるよりも、「やろう」と自発的に選んだことのほうが、頑張れる生き物なのです。そして東大生の親は、「自発」を引き出しているということです。

親力2:「勉強しろ」は中学まで

もっとも、「小さいころは勉強しろと言われた」という東大生もある程度いました。でも、それも中学生まで。「高校生になってからは一度も勉強について口出しされたことがない」という東大生も多かったです。

もちろん、中学受験をして名門進学校に入ってそのまま東大に入った学生や、高校受験で偏差値の高い学校に行った学生はいて、学校を選択するきっかけが親だったという人はいました。中学受験や高校受験のタイミングで親に勉強をバックアップしてもらったという学生は一定数存在します。

しかし、大学受験となるとなぜか、ピタリと「親から勉強をバックアップしてもらった東大生」の数が減るのです。東大生多しといえど、今まで僕は「東大を受験したのは親がきっかけだった」という学生と会ったことがありません。むしろ「自分の子が東大に行くなんて想像もしていなかった」と言われたという東大生が大半です。

さきほど僕は、「自発的な選択のほうが頑張れる」という話をしましたが、小さいころから全部自発的に決めるというのはなかなか難しいものです。

どんな物事の選択も、はじめはある程度人から言われたことをやってみて、自分の中で「型」を作らないといけません。「勉強なんかやりたくないんだ!」と言うのではなく、「親や先生が言うなら、ちょっと勉強頑張ってみようかな」という素直な気持ちがないと、「自分で考えて正しい選択をする」ということができないのです。

人間の行動を「強制」と「自発」に分ける話をしましたが、100パーセント「自発」だと問題が起こるということです。この2つのバランスが重要なのです。

そう考えた時に高校生というのは、「強制」ではなく「自発」で動かなければならないタイミングなのだと思います。

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