麻生解散なし、首相取り替え、自民党の分裂、なんでもありで事態が急展開

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麻生解散なし、首相取り替え、自民党の分裂、なんでもありで事態が急展開

塩田潮

 いよいよ自民党の内部抗争が着火寸前である。麻生首相が解散先送りを決めたのは去年の10月30日だった。以来、内閣支持率低落や首相の相次ぐ失態への失望、不満など、火種は転がっていたにもかかわらず、ここまで渡辺元行革担当相の離党以外、自民党内から火の手は上がらなかった。麻生支持派はもちろん反麻生勢力も、4月の2009年度予算成立までは麻生体制を支えるしかないと模様眺めを極め込んでいたからだ。

 ところが、何を思ったのか、首相自身が郵政妄言で火種に油を注いでしまった。それを見て最大派閥の町村派(旧森派)が動き出した。森元首相主導で町村会長体制を決めたのは、表向き麻生擁護、反麻生派の中川元幹事長の封じ込めと映ったが、実際は麻生首相を見限り、ポスト麻生への町村擁立の布石と見た人は多い。
それに連動する昨日の小泉元首相の痛烈な麻生批判である。小泉発言は麻生降ろしの狼煙と同時に、ポスト麻生をめぐる町村・中川対決の火蓋、さらに小泉時代から続く自民党の路線戦争の再点火であろう。

 つい最近まで、麻生降ろしのエネルギーすらない、ずるずると任期満了まで麻生体制という空気が自民党の一部にあったのも事実で、超不人気なのに、実態認識力に欠ける首相は、なんとなく延命可能とタカをくくっていたふしがある。郵政発言はその気の弛みから生まれたと見る。指導者失格の指摘はいまに始まったことではないが、今度は致命傷となる可能性がある。麻生解散なし、首相取り替え、自民党の分裂など、なんでもありで事態が急展開しそうだ。多くの自民党議員が自身の生き残りを最優先に考え始めたからだ。

 自民党が沈没・自壊の危険性をはらみながら漂流するのは、2大政党政治下での本格的政権交代による下野の経験がないためだろう。
そろそろ政権喪失後の生存戦略と政権再奪取の展望の研究に真剣に取り組むリーダーの出現が必要なときではないか。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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