急増する「レイプドラッグ」被害女性3人の叫び 16歳で被害「いっそ殺されたほうがよかった」

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佐野あいさん(仮名・31)の被害

佐野あいさん(仮名・31)は、婚活サイトで知り合った自称商社マンの男(36)にクスリを盛られた、という。

「その日は2回目のデートで普通に誘われたら性交していたと思います。いま思えばそんなやつにそんなことを思っていた自分が嫌ですけど」

と、当時の自分の気持ちを冷静に振り返る。

「暑い日でビアガーデンに行きました。でも、途中からすごく風が強くなってきて、テーブルの上のおしぼりとか吹き飛ばされてました。私の帽子も結構遠くまで飛ばされてそれを取りに行ったんです」

その瞬間、男がカバンから何かを取り出すのが見えたという。

「サプライズで指輪とかくれるのかと期待してあまり見ちゃいけないと思い見ないふりをしたんです。席に戻ったら焦った様子でまたカバンをガサゴソしていて。そこから記憶がありません。そんなかわいらしいことを考えていた自分が恥ずかしい」

純粋な乙女心は粉々に打ち砕かれた。朝起きると汚いラブホテルの床に裸で寝かされていたという。

「ベッドの上には男がいて、私を見下ろしていました。SMみたいなプレーをしたいようなことを言っていましたが、そのときは何が起きたのか頭の中が整理できず、“気分が悪いから帰りたい”と叫んで帰りました。男はびっくりした様子でした。それから連絡もありませんし、私もしていません。同じように被害に遭っている人がたくさんいると思います。絶対に許さない」

レイプを立証するには証拠が

被害者たちの多くは被害を訴えることなく、加害者の逃げ得が許されてしまっている。今からでも被害を訴えることは可能なのか。

性犯罪裁判に詳しいアディーレ総合法律事務所の正木裕美弁護士は、

「客観的証拠もないうえに、事件発生時から数年という相当時間が経過しているのであれば、そもそも立証は困難。起訴に足る証拠が不十分とされる可能性が高いと思われます」

と、事件化する難しさを指摘する。万が一、被害に遭い、裁判で闘うとしたら証拠をひとつでも多く残すことが勝訴につながる道だという。

「被害直後は耐えがたくつらい時間だと思いますが、できるだけ早く警察、医療機関へ行くことが大事です。事件時に着用していた洋服や所持品などはそのまま、もしくは新しいビニール袋に入れて持参し、トイレに行かず、風呂にも入らずそのまま警察へ行くことです。

警察に行くこと自体、非常に勇気がいる行為ですし、さらに気持ち悪く耐えがたい苦痛を強いるものだと思いますが、加害者の責任を問うためには、レイプを立証する証拠を散逸させないことが不可欠です」

今年4月11日、東京駅前で行われたフラワーデモの様子(写真:週刊女性PRIME)

今回、話をしてくれた3人の被害者たちはともに記憶がなく、もうあの男と対峙したくない、という思いから事件当時は泣き寝入りをした。しかし今どんな結果になろうと被害者として弁護士に相談を始め、今からでもできる方法で被害を訴えていくという。

フラワーデモを最初に呼びかけたひとり、作家の北原みのりさんは、

「性犯罪の被害を受けた人が声を出せなくなるのは本当にひどいし許せない。声をあげた被害者をひとりにさせない。そんな思いからフラワーデモを始めました。実際に、想定していたよりも多くの人たちが集まってくれて“私も”と言いたい人がこんなにいるんだと改めて感じました。これからも女性たちが声を上げやすい空気をどんどん作っていきたい」

と、話す。

各地で女性たちは声を上げ始めている。卑劣な性犯罪者の逃げ得はもう許さない!

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