カードからスマホへ軸足を移す「Suica」の未来

「ネットサービス」終了、決済アプリと連携

登場したばかりの頃は、近距離乗車券の代わりとして考えられていたSuicaだったが、当時からJR東日本は電子マネーとしての使用や、ほかの鉄道会社での使用も検討していた。2002年には東京モノレールとりんかい線(東京臨海高速鉄道)でも利用が始まった。この両社はSuicaを発行しているため「Suicaエリア」の鉄道であり、いわゆる相互利用とは違うが、他社線で使えるようになったのはこれが始まりだ。

他社との相互利用は、その後の全国的な交通系ICカードの広がりとともに拡大していく。まず2004年8月にJR西日本のICOCA(2003年11月サービス開始)との相互利用を開始。首都圏の私鉄・地下鉄各社局が導入したPASMOは、2007年3月のサービス開始と同時に相互利用が可能となり、首都圏でのICカード普及に大きく弾みがついた。

使用エリアの拡大とともに、普及に大きく影響したのは電子マネーとしての利用がスタートしたことだ。Suicaの電子マネーとしての利用開始は2004年3月から。当初は駅売店などが中心だったが、次第に市中の店舗でも交通系ICカードが使用できるようになっていった。

2013年には交通系ICカード全国相互利用サービスが開始。今では交通系電子マネー利用可能店舗は約61万6400店舗(2019年3月末)に達し、1日当たり決済件数は約784万件(2018年8月、過去最高値)に上る。

モバイルの普及は意外に遅い?

一方、Suicaの普及と同じくこの20年ほどで急速な進化を遂げたのがモバイル機器だ。最初の10年はいわゆる携帯電話(フィーチャーフォン、ガラケー)、その後はスマホの発達だ。決済機能の付いた携帯電話の普及により、この機能を使ってのSuicaのサービスも生まれた。2006年1月にサービスを開始した「モバイルSuica」だ。

だが、モバイルSuicaの会員数は、約7587万枚(2019年3月末)を数えるSuicaの発行枚数とは1つケタの違う約715万人。今のところ、カードのほうが普及率は圧倒的に高い。

スマホ、とくにiPhoneは使いやすさから日本の多くの人に受け入れられていったが、一方でiPhoneは、従来型の携帯電話やアンドロイド端末の多くにある「おサイフケータイ」の機能が存在しなかった。

そこでiPhoneユーザーは、スマホケースにSuicaをはじめとする交通系ICカードを入れ、ケースごとタッチするという方法を取る人が増えた。皮肉にもiPhoneの普及が、モバイル機器でのSuica利用を促進させず、カード型のSuicaを生き延びさせたともいえる。

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