カードからスマホへ軸足を移す「Suica」の未来

「ネットサービス」終了、決済アプリと連携

だがそんなiPhoneも、近年Suicaに対応するようになった。2016年9月には日本だけで発売されるiPhoneにのみ、FeliCa専用モジュールを搭載することが発表された(iPhone8以降はグローバルモデルにも搭載)。これにより、アップルの決済サービスであるApple PayでSuicaを使えるようになった。

その後、iPhoneで使えるSuicaのサービスは次々と登場している。2018年8月にはみずほ銀行と共同で「Mizuho Suica」をリリース、みずほ銀行の決済アプリ上でSuicaを発行できるようになった。銀行口座から直接チャージできる利便性が売りだ。

そして、2020年春には楽天グループの決済アプリ「楽天ペイ」でもSuicaを発行できるようになる。こちらは、まずはアンドロイド端末が対象となる。

JRとしては、チャージの利便性を高めることで利用機会の増加が見込めるほか、モバイルによるサービスを強化することで券売機でのチャージを減らすことができ、混雑の緩和などにつながる利点がある。一方、楽天側にとっても利用機会の多い交通系電子マネーとの提携はメリットが大きい。

今後の主役はモバイル?

Suicaがスマホと連携したサービスを拡大しつつある中、今後はカード型のSuicaからモバイルへと移行する流れが強まっていくだろう。冒頭に紹介した「Suicaインターネットサービス」の終了も、このような中での動きといえる。2020年2月26日以降、機種や登録するクレジットカードの種類を問わず、モバイルSuicaの年会費を無料にするという予告からも、モバイル強化の意向がうかがえる。

一方でJR東日本は6月、カード型のSuicaにこれまでは磁気券のみでの発売だった企画型周遊乗車券(おトクなきっぷ)を搭載できるようになると発表した。9月から「都区内パス」などを手持ちのSuicaに搭載できるようになる。だが、こういった切符もいずれはモバイル化されるのではないだろうか。

Suicaは今やJR東日本の事業において中核の1つとなり、同社のグループ経営ビジョン「変革2027」でも「さまざまな決済手段やアプリケーションと連携し、共通基盤化を推進する」として、移動をはじめとするさまざまなサービスを結び付ける基盤となることが示されている。

少子高齢化・人口減少の進展で将来の鉄道利用者減少が確実に見込まれる中、Suicaの展開はJR東日本の今後に大きく関わってくる。QRコードによるスマホ決済アプリが急速に普及する中、Suicaの姿もスマホなどを利用したモバイルへとさらに変化していくのではないだろうか。

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