「本業消滅」を乗り越えた企業の"重要な共通点" 事業が衰退期を迎えたとき何をするべきか
それでは、難しいとされる本業転換を行ってきた企業と、同じ業種に位置しながら、本業転換がうまくできずに倒産・解体されてしまった企業の戦略の違いは、何だろうか。
筆者は新刊の中で、富士フイルムvs.コダック、ブラザー工業vs.シルバー精工、日清紡vs.カネボウ、JVCケンウッドvs.山水電気の4ペアを取り上げ、戦略の比較を行ったが、そうした中からも見えてきたことがある。
事業が「成熟期~衰退期」を迎えたらどうするか
事業にはライフサイクルがあり、いつかは成熟期から衰退期を迎える。そのため大企業が永続していくためには、事業構造を変えていく必要がある。
本業が成熟・衰退した場合、企業は2つの手を打たなくてはならない。それは、成熟・衰退した本業からキャッシュを刈り取る作業と、次世代の成長のための新事業の開発である。
そのために具体的には、
②どのような事業に転換していくべきか
③どのように新事業に転換していくべきか
上記の3つを考えることが必要である。このうち本記事では、②について詳しく述べよう。
新しい事業への転換に関しては、リチャード・P・ルメルトが行った『多角化戦略と経済成果』が代表的研究と言える。主力事業が成熟してきた場合、多くの企業は新しい成長分野へと進出して生き残りを模索する。その選択肢の1つが、多角化である。
ルメルトの研究の結論は、以下のようなものである。
・技術的に関連の薄い分野や関連のない分野に進出するよりも、本業に近い関連多角化のほうが業績がよい
しかし4ペアの事例研究を通じて、単なる「関連」という言葉では語れない成功/失敗の分水嶺が見つかった。
それは、
①遠そうで近いもの
②近そうで遠いもの
の2つである。
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