フェイスブックの暗号資産リブラは買いなのか リブラに対する「6つの警戒」を真剣に考える

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(1)参加者が多いことは便利で結構なことだ。

(2)自分に関するたくさんのデータをフェイスブックと関連業者に持たれてマーケティング等に利用されることの影響は、確かに心配だ。

(3)決済や送金が安くなるのはいいことだ。今まで既存の銀行その他がサービスの価値に対してあまりに高い手数料を取っていたのだ。

(4)通貨バスケットにリンクするリブラは金利も複数の通貨の金利の影響を受けるはずだが、フェイスブック自身ないしはリブラで与信を行おうとする他の企業が信用創造を行うことを認めるのか否か、およびそれを誰がどうコントロールするのかが、マクロ経済的な金融政策には決定的に重要だろう。

ただし、リブラをデジタルSDRと考え、これが自国通貨並みに普及した世界では、一国の実質的なマネーサプライは自国通貨の金利でコントロールできないかもしれないが、預金準備率等のコントロールでそれなりに調節することができるだろう。

問題は信用の拡大・縮小が過度にならないようにコントロールする手段を持つことだ。フェイスブック自身、あるいはリブラに参加する金融業者がローンに進出して信用創造を行うようになるかどうかは大きな分水嶺だ。

信用度に応じて資産分散すればいい

(5)リブラが普及した将来にリブラの決済システムや保管システムが破綻することになると大きな悪影響が生じることは否めない。ユーザーは、フェイスブックおよびリブラの信用度を見極めながら、リブラを徐々に使っていくことが合理的だ。

今だって銀行システムは完璧ではないし、個々の銀行も完全に信用できるものではない。ユーザーは信用度を判断しながら使っている。ユーザーは、リブラの信用度に応じてリブラを部分的に使うといい。

リブラ建て資産だけを持つのではなく、さまざまな資産に分散して持てばいい。もちろん、フェイスブックにもリブラに参加する業者にも、システムをより強固にして信用されるものにしたいというインセンティブが働くはずだ。

(6)フェイスブック相手に限らず、自分のデータが不本意なかたちで利用されるリスクに対してはつねに警戒が必要だ。

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