くら寿司が「年収1000万円」で新卒募集するワケ 田中社長が明かす「すしエリート」採用の狙い
――ただ、一般の採用で入社する新卒社員からすると、同じ研修を受けているのに年収に差があることで、モチベーションが下がる懸念はありませんか。
当社の文化として「人と比べるな」というのを常に言っている。中途で入った人が上司になったからと言って、文句を言うなと。年功序列ではないということはそういうことだ。このようなことは入社する社員にしっかり伝えている。
回転ずしというフレームワークで戦う
――近年、競合のスシローは回転ずしにとどまらず、業態の多様化を狙って居酒屋などの新業態を展開しています。くら寿司も新業態を展開する考えはありませんか。
ファミリーレストランやファストフードの分野で、世界中で上位を占めるチェーンは複数業態を展開しているところは多くない。マクドナルドやスターバックスがいい例だ。われわれが現在、くら寿司以外で展開しているのは「無添蔵」という、やや高級な回転ずしの店舗を4店だけ。基本的には回転ずしのみでやっている。
居酒屋といっても、その市場規模は縮小している。その中で競争するためには、多くの人材が必要になる。当社としては、今回のエグゼクティブ採用を生かして、海外でくら寿司を広めることに力を入れていきたい。当社はあくまで(回転ずしという)1つのフレームワークで戦っていく。今のところ新業態を展開する考えはない。
――話は変わりますが、今年2月にアルバイト店員による不適切動画の投稿が波紋を広げました。投稿後には客数も減少傾向にあり、くら寿司の業績にも影響を及ぼしました。
あってはいけないことで深く反省している。企業としてできることは、ルールを決めて、管理を徹底すること。再発防止に向け、できることをしっかりやっていく。
――創業して42年、くら寿司を引っ張ってきました。後継者について、どう考えていますか。
私の息子(田中信氏)が今、副社長をやっているが、息子に引き継ぎたい、という話は全然していない。優秀な人がいればその人に社長をやってもらえばいい。息子もそういうところに固執するタイプではない。実際、社長候補は5、6人いるかな。
大事なのは、われわれがビジネスマンである前に人間であるということ。次のリーダーには良心に恥じない仕事をしてほしい。
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