くら寿司が「年収1000万円」で新卒募集するワケ 田中社長が明かす「すしエリート」採用の狙い

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――ただ、一般の採用で入社する新卒社員からすると、同じ研修を受けているのに年収に差があることで、モチベーションが下がる懸念はありませんか。

当社の文化として「人と比べるな」というのを常に言っている。中途で入った人が上司になったからと言って、文句を言うなと。年功序列ではないということはそういうことだ。このようなことは入社する社員にしっかり伝えている。

回転ずしというフレームワークで戦う

――近年、競合のスシローは回転ずしにとどまらず、業態の多様化を狙って居酒屋などの新業態を展開しています。くら寿司も新業態を展開する考えはありませんか。

ファミリーレストランやファストフードの分野で、世界中で上位を占めるチェーンは複数業態を展開しているところは多くない。マクドナルドやスターバックスがいい例だ。われわれが現在、くら寿司以外で展開しているのは「無添蔵」という、やや高級な回転ずしの店舗を4店だけ。基本的には回転ずしのみでやっている。

田中邦彦(たなか・くにひこ)/ 1951年生まれ。1972年桃山学院大学卒。1977年に醸造酢の営業マンから脱サラし、個人のすし店を創業。1984年に回転ずしくら寿司をオープン。1995年に当社設立し、社長就任(写真:くら寿司)

居酒屋といっても、その市場規模は縮小している。その中で競争するためには、多くの人材が必要になる。当社としては、今回のエグゼクティブ採用を生かして、海外でくら寿司を広めることに力を入れていきたい。当社はあくまで(回転ずしという)1つのフレームワークで戦っていく。今のところ新業態を展開する考えはない。

――話は変わりますが、今年2月にアルバイト店員による不適切動画の投稿が波紋を広げました。投稿後には客数も減少傾向にあり、くら寿司の業績にも影響を及ぼしました。

あってはいけないことで深く反省している。企業としてできることは、ルールを決めて、管理を徹底すること。再発防止に向け、できることをしっかりやっていく。

――創業して42年、くら寿司を引っ張ってきました。後継者について、どう考えていますか。

私の息子(田中信氏)が今、副社長をやっているが、息子に引き継ぎたい、という話は全然していない。優秀な人がいればその人に社長をやってもらえばいい。息子もそういうところに固執するタイプではない。実際、社長候補は5、6人いるかな。

大事なのは、われわれがビジネスマンである前に人間であるということ。次のリーダーには良心に恥じない仕事をしてほしい。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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