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ライフ #360°カメラで巡る東京23区の名建築

千代田区のビル群にある90年前の旧宮邸の来歴 「赤坂プリンスクラシックハウス」を撮影

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かつての客室。創建時からの内装が数多く残る(編集部撮影)

1階ベランダに面した部屋はかつての大食堂だが、現在はレストラン「ラ・メゾン・キオイ」のダイニングルームとして使用されている。この部屋の暖炉や壁面などに見られるジャコビアン様式の太い“ねじり柱”は、このほかにも玄関の広間や階段の手すりなど邸内の各所に共通しているモチーフで、重厚な英国調の雰囲気を演出している。

1階2階の撞球室、寝室、書斎などはそれぞれの部屋の用途、雰囲気を継承しながらレストランやパーティールームなどに改装されているが、創建時以来の家具、照明、床の寄木細工などの内装はそれぞれ見応え十分。宮邸としての格調の高さを実現しながら、家族の生活空間としてもあたたかさを感じるとても魅力的な邸宅だ。

1955年に「赤坂プリンスホテル」となった

李王家の人々がこの家で暮らしたのは昭和5(1930)年の竣工時から27(1952)年までのこと。昭和20(1945)年の敗戦により、李王家とこの邸宅は数奇な運命を辿ることになる。昭和22(1947)年の皇室典範の施行により、宮家であった11の親王家は皇籍離脱したが、同様に李王家も王族の身分を失い、巨額の財産税を課せられる。

李王は、当時の李承晩大統領に帰国を願い出たが叶わず。屋敷の半分を参議院議長公舎として貸し出し、一家は侍女室に暮らすという苦境に陥った。そして昭和27(1952)年には、創業者・堤康次郎が率いていた西武グループに建物を売却。かつての宮邸は、昭和30(1955)年に31室の客室を擁する赤坂プリンスホテルとなった。

赤坂プリンスホテルというと、赤坂見附の交差点から見えていた丹下健三設計の屏風を広げたような超高層建築を思い出す。その丹下建築が竣工したのは昭和58(1983)年のこと。新館竣工とともに、こちらの旧李王邸は赤坂プリンスホテル旧館となった。

紀尾井町の洋館を離れた李垠が、妻・方子とともに韓国に帰国したのは昭和38(1963)年だった。その7年後に李垠は亡くなるが、妻は韓国にとどまり平成元(1989)年に死去。朝鮮皇太子妃としての古式にのっとった準国葬で送られたという。

今も紀尾井町に残るこの館には、歴史の荒波に翻弄された人たちの一時期の優雅な暮らしがあった。その建物が当時の趣きをとどめていることは感慨深い。

赤坂プリンス クラシックハウス

  • エントランス脇には階段室のステンドグラスが見える エントランス脇には階段室のステンドグラスが見える
    (撮影:尾形文繁)
  • 室内から見た階段室のステンドグラス 室内から見た階段室のステンドグラス
    (撮影:尾形文繁)
  • 玄関脇の大理石のレリーフ彫刻 玄関脇の大理石のレリーフ彫刻
    (撮影:尾形文繁)
  • 玄関を入ってすぐの大広間 玄関を入ってすぐの大広間
    (撮影:尾形文繁)
  • 客室には創建時の内装が特に多く残る 客室には創建時の内装が特に多く残る
    (撮影:尾形文繁)
  • ねじり柱がアクセントになっている階段 ねじり柱がアクセントになっている階段
    (撮影:尾形文繁)
  • 階段の親柱の彫刻は特に細密 階段の親柱の彫刻は特に細密
    (撮影:尾形文繁)
  • 大食堂のマントルピース 大食堂のマントルピース
    (撮影:尾形文繁)
  • 撞球室のステンドグラス 撞球室のステンドグラス
    (撮影:尾形文繁)
  • 食堂のベランダ。陽光が豊富に入る 食堂のベランダ。陽光が豊富に入る
    (撮影:尾形文繁)
  • 寝室の大箪笥には唐草模様の彫刻が施されている 寝室の大箪笥には唐草模様の彫刻が施されている
    (撮影:尾形文繁)
  • 2階にはサンルームが設けられている 2階にはサンルームが設けられている
    (撮影:尾形文繁)
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  • エントランス脇には階段室のステンドグラスが見える
  • 室内から見た階段室のステンドグラス
  • 玄関脇の大理石のレリーフ彫刻
  • 玄関を入ってすぐの大広間
  • 客室には創建時の内装が特に多く残る
  • ねじり柱がアクセントになっている階段
  • 階段の親柱の彫刻は特に細密
  • 大食堂のマントルピース
  • 撞球室のステンドグラス
  • 食堂のベランダ。陽光が豊富に入る
  • 寝室の大箪笥には唐草模様の彫刻が施されている
  • 2階にはサンルームが設けられている

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