「定番ホットケーキ」、専門店のスゴすぎる進化 決してほかでは真似できない「ここだけの味」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

最後に紹介するのは、大山にある「ピノキオ」というお店です。

【3】全世界を魅了する造形美「ピノキオ」

「ピノキオ」といえば、ホットケーキ好きの間では言わずと知れた「聖地」です。なぜそこが「進化系」ホットケーキの「一押し」なのかと思う方もいるかもしれません。

しかし、ホットケーキという食べものの姿形にこだわり、造形美を追求するという今の流れをつくったのは、間違いなく「ピノキオ」の店主である塩谷三夫さんです。まさに「進化系」の元祖なのです。

「ピノキオ」のホットケーキは、とにかく「美しい」。そのフォルム、厚さ、焼き色、この造形美はほかのお店ではお目にかかれない逸品です。

大山の名店「ピノキオ」のホットケーキ(撮影:今祥雄)

その造形美に魅了されるのは、日本人だけではありません。世界中から「ピノキオ」のホットケーキを求めて、「大山詣で」が続いているのです。その国籍はアメリカ、中国といったメジャーな国だけでなく、エストニア、北アイルランド、ポルトガル、タヒチと実にさまざま。

塩谷さんがこだわるのは、丸くて厚いホットケーキ。しかも、型枠(セルクル)を使わずに、手作業で「完全なる円形」をつくり出します。だから、単に美しいだけでなく、どこかあったかいのです。

並んで待つ価値が十分にある「進化系ホットケーキ」

紹介した「進化系ホットケーキ」のお店はどこも大人気です。いつもお店の前には行列ができているので、時間帯によっては待つこと覚悟で行く必要があるかもしれません。でも、並ぶ価値は十分にあります

ある大企業の社長は、どうしても「TAMTAM」のホットケーキが食べたくて、1時間並んで食べたそうです。そして、「確かにあれはイノベーションだね。あの創意工夫は見習わなくては」と私に教えてくれました。

単においしいホットケーキを味わうだけでなく、「どうしてこんなホットケーキが生まれたんだろう?」「どうしてこんなに繁盛しているんだろう?」と考えることも、生きたビジネスの勉強になるはずです。

昔ながらの懐かしい味がしぶとく残る一方で、時代にマッチした新しいホットケーキも誕生しています。その中には、ホットケーキという「素晴らしい食べ物」を残そうと前向きに取り組んでいる若い世代の人たちもいます。

「ホットケーキなんてどれも同じだろう」と思われている方、ぜひ紹介した「進化系」のお店を訪ねてみてください。

遠藤 功 シナ・コーポレーション代表取締役

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

えんどう いさお / Isao Endo

早稲田大学商学部卒業。米国ボストンカレッジ経営学修士(MBA)。三菱電機、複数の外資系戦略コンサルティング会社を経て現職。2005年から2016年まで早稲田大学ビジネススクール教授を務めた。

2020年6月末にローランド・ベルガー日本法人会長を退任。7月より「無所属」の独立コンサルタントとして活動。多くの企業のアドバイザー、経営顧問を務め、次世代リーダー育成の企業研修にも携わっている。良品計画やSOMPOホールディングス等の社外取締役を務める。

『現場力を鍛える』『見える化』『現場論』『生きている会社、死んでいる会社』『戦略コンサルタント 仕事の本質と全技法』(以上、東洋経済新報社)などべストセラー著書多数。

 

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事