細川元首相、東電改革「株主として物申す」 原発再稼働に、強い危機感

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1月22日、細川元首相は都内で記者会見し、23日告示・2月9日投開票の東京都知事選への立候補について、小泉元首相から強いメッセージを受けて決意した、と述べた(2014年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 22日 ロイター] -細川護煕元首相は22日、都内で記者会見し、23日告示・2月9日投開票の東京都知事選への立候補を正式表明した。

成長のためには原子力発電所が不可欠として原発再稼動に動く政府に強い危機感を持ち出馬を決めたことを明らかにするとともに、国のあり様にも物を言っていきたい、との意向を示した。

細川氏は「原発のリスクは国の存亡にかかる」とし、「今ここで原発ゼロの方向を明確にすべき」と語った。ひとたび事故が起きれば天文学的コストだとも語り、原発立地県ではないものの「脱原発を問う選挙」の正当性を強調。東京都民の生命と財産を守るうえで「原発問題こそ最大の争点、最も重要なテーマとして疑う余地もない」と語った。

立候補は考え悩んだ末の決断とし、「脱原発の同志である小泉純一郎元首相からの強いメッセージを受けて決意した」ことを明らかにした。背景の1つに、自身の総理時代に「原発の安全神話を鵜呑みにした不明を恥じる」と語った。

細川氏は原発ゼロへの取り組みとして、専門家による「東京エネルギー戦略会議(仮称)」を立ち上げ、「脱原発基本計画」で再生エネルギー比率の引き上げなど具体策を検討する方針を明らかにした。

東京電力<9501.T>改革について「株主としてモノを申していく」とした。ただ、具体的な内容については示さなかった。放射性廃棄物の処分については「東京もある意味負担しなければならない。黙って見過ごすことはできない」と踏み込んだ。

「脱原発」以外では、国もできなかった「岩盤規制」に取り組むとし、「医療・介護・子育ての規制改革を強力に進める」と語った。

総理辞任に追い込まれた東京佐川急便からの借入金問題については、全額返済したことは「根抵当権の抹消」などで明らかだとし、国会で追及された当時と同様の説明を繰り返したが、国会紛糾で予算成立が遅れ、総理辞職でけじめをつけたと説明した。

細川氏の政策骨子は以下のとおり。

1)原発ゼロが新しい成長に点火─「再稼働を止める」という政治決断を行うなら今しかない。政治が方向を示せば日本の省エネルギー・再生可能エネルギー産業を世界でトップクラスの成長産業とすることが可能。東京が先頭にたって日本の原発ゼロの成長戦略をリードする。

2)2020年オリンピック・パラリンピック東京・東北─派手な施設を誇示するオリンピックではなく、水と緑に囲まれ、日本らしい簡素で優美なオリンピックを目指す。

3)「防災都市・景観都市・東京」に水と緑の力をいかす。

4)都市機能の整備をすすめ、美しく機能的な首都へ。

5)子供と高齢者にやさしい「先見的都市モデル」を。

 

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