ヤフーのEC革命、お手本は中国のタオバオ 小売り・eコマースの未来像(3)

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中国では、買い物はエンタメ

北川:まさに、先ほど「感情価値」という話をしましたけれども、イベントによってお祭り気分を出して、「買うことが楽しい」「ここで買わないとなんかミッシング・アウトだよね」みたいな雰囲気を作るのは、すごくいいことだと思っています。

まさに、大西さん、三越さんと一緒に、「うまいもの大会」という形で、催事を一緒にやらせていただいています。私たちも、オフラインの催事というのは慣れたものではなかったんですが、インターネットでよく商品を売られている方々で、あまりオフラインで売られたことのない方々を集めて、一緒に催事をやらせていただき、みなさんにその商品価値を知ってもらうと思っています。

たくさん商品がありすぎて、分からない、どうするんだ、みたいなものを、あえてオフラインで持ってくるみたいなやり方がありまして。それを一緒にやらせていただくなかで、こういった試みをどんどん活発化させていって、どうしたらお客さんが本当に喜んでもらえるような商品を提供できるのかを、一緒に考えさせていただいて、これからもどんどん、ネット上も含めて一緒にやらせていただけたらありがたいと思っております。

川邊:タオバオはアリババがやっているんで、我々にとっては親戚筋みたいなもんです(編集部注:ヤフーの親会社であるソフトバンクが、アリババに32%出資)。あの日も、「こういうことやったよ」っていう情報が向こうから来たんですけれど、もうすさまじいですよ、一日5600億円ですから。我々の何年分だっていう議論になったもんね、あのとき。要するに、さっき北川さんがおっしゃっていたように、「買い物はエンターテインメントである」っていうのを、もろ、やっているんですよね。

どちらかというと日本は、この10年、20年はデフレで、買い物というと「1円でも安く」みたいな風潮でした。さっきもちょっと大西さんとお話したんですけど、どうしてもECでも、検索のソートが「安い物順」になっていっちゃうんです。けれど、中国では、買い物は快楽ですよ。エンターテインメント。楽しいもの。11月11日は、テレビ中継もやっていたし、最後に店が閉まったときには、花火がどかーんとタオバオの本社で打ち上げられて、すさまじいお祭り騒ぎで、それをみんなで楽しんでいるんですね。しかも1ヶ月前からいろいろあおりを入れて、巨大なエンターテインメントにしている。ああいうのは、見習っていきたいですね。ヤフーもやりたいと思っています。はい。

小野:小澤さん、なんかお祭りと聞けば、なぜか小澤さんを想像してしまうんですけれども。

小澤:ヤフーの無料化って、端的に言うと、タオバオモデルの作業です。ことあるごとに、会長である孫のほうから、「タオバオを見習え」とか「(アリババCEOの)ジャックがああ言ったこう言った」とか「そもそもタオバオを持ってきたい」とか、言われています。

中国のEC市場では、2000年代までイーベイが9割くらいのシェアがあったんですね。そこに、孫さん曰く、「ジャックに俺がアドバイスした」そうですが、タオバオはECを無料化したことで、今の地位を築いている、と。そのポイントは、「買えないものはない」という世界をあの中国で作り上げることである、と。今、タオバオは、7、8億種類の商品を扱っていて、流通総額は年間17兆円です。途方もないです。

そして、11月11日のシングル・デイには、最初の10秒で16億円売ったと教えてもらって、もう愕然としました。先ほど川邊からもありましたけれども、中国の国民全体が、消費に対するものすごくどん欲な意欲を持っていて、安く買うとかっていう形ではなく、買い物自体を楽しむと。

先ほど北川さんの話にもありましたが、買い物自体の楽しさをものすごく追求した企画が、タオバオのなかにたくさんあります。我々ひたすら、それを見ていて。それを日本流に解釈するとこうなのかなあ、というのが、2013年の年末商戦から始まります。相当タオバオを意識した実験をさせていただいております。

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