一緒に働く"外国人"に難なく仕事を教えるコツ 「あいまいな日本語」はこう具体的にしよう

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ただ、日本語がネイティブではなかったり、文化・習慣の違う外国人スタッフの場合、“やってほしい行動”を正確に伝えるためには、さらに少しの工夫が必要になります。

私たちの“ふだんどおりの日本語”では十分なコミュニケーションがとれない相手に“やってほしい行動”を正確に伝えるためのコツをお伝えしましょう。

在留外国人との会話に必要なのは英語ではない

“外国人との会話”というとすぐに「英語」を連想しがちですが、日本で暮らす外国人の実態を知ると、必ずしも「英語」が万能ではないことがわかります。

(出所)『行動科学を使ってできる人が育つ 教える技術 外国人と働く編』より

2017年6月末時点での在留外国人の出身国(地域)および公用語を人数の多い順に並べると、1位が中国の28.8%、2位が韓国の18.3%、3位はフィリピンの10.2%、4位がブラジルの7.5%、5位がベトナムの9.4%、6位がネパールの3.0%、そして7位にやっと米国の2.2%がランキングしており、“英語が公用語でない国”の人が非常に多いことがわかります。

また別の調査で、在日外国人約1700人に“母語(幼児期に最初に覚えた言語)以外で日常生活に困らない言語”を複数回答してもらったところ、日本語が70.8%だったのに対し、英語は36.8%だけでした(2009年:国立国語研究所「生活のための日本語:全国調査」)。

さらに、文化庁の「日本語に対する在住外国人の意識に関する実態調査(2001年実施)」「日本語教室に通っている16歳以上の在住外国人への調査」によると、日本で暮らす外国人の多くはローマ字よりもひらがなやカタカナのほうが読めるという結果も。

(出所)『行動科学を使ってできる人が育つ 教える技術 外国人と働く編』より

こうして見ていくと、「外国人スタッフと共に働くためには、とにかく英語を勉強しなければ!」という考え方が、少々的外れであることがわかります。だからといって、韓国語やベトナム語、ポルトガル語など、それぞれのスタッフがいちばん得意とする言語をマスターするというのも、非常に困難なこと……。

そこで、職場での公用語は“やさしい日本語”にしようというのが、私からの提案です。

近年、多方面で使われはじめている「やさしい日本語」とは、日本語に不慣れな外国人にわかりやすいように、“難しい単語を使わない”“表現をシンプルにする”など、さまざまな工夫をした日本語のことです。

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