一緒に働く"外国人"に難なく仕事を教えるコツ 「あいまいな日本語」はこう具体的にしよう

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したがって、次のように表現するのが望ましいでしょう。

「なるべく早く仕上げてください」
「今日の夕方5時までに」「明日の昼休みまでに」といった具体的な締め切りを伝えましょう。
「きれいに掃除しましょう」
例えば、もしちりひとつ落ちていない環境を求めるのであれば、実際にやって見せながら、掃除道具の使い方や“きれいに掃除できた状態”をはっきりと示し、「このように、床のほこりと髪の毛がすべてなくなったら完了。部屋の四隅にほこりが残っていないことも確認してください」と指示しましょう。
「ちゃんと丁寧に取り扱ってね」
例えば、「片手でつかみ、反対の手で下から支えます。体を揺らさないように台のところまで移動し、コツンと音をさせないよう、静かに置きます」というふうに行動を分解して説明すれば、自ずと丁寧な扱いになるでしょう。

「正しくできている」ことを伝える

もう1つ付け加えると、過剰なまでの丁寧語や謙譲語も“やってほしい「行動」”をわかりにくくしています。

例えば、アメリカで道路工事による片側交互通行を実施しているとき、運転手に対して係員が言うのは「Stop!」「Go!」といういたってシンプルな言葉。

これが日本だと「大変ご迷惑おかけして申し訳ありませんが、少々お待ちください」「お待たせしました。ご協力ありがとうございます!」となるわけです。

この丁寧な対応が、日本人の魅力ではあるのですが、“「行動」をわかりやすく伝える”という目的からは外れます。

「いったん停止をお願いします」「お通りください」くらいの表現だと、丁寧さとわかりやすさのバランスがよいかもしれませんね。

さて、やってほしい「行動」を具体的に伝えることができたら、さらに1つ大事なポイントがあります。

『行動科学を使ってできる人が育つ 教える技術 外国人と働く編』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

それは、正しい行動ができていたら「正しくできています」と本人にはっきり伝えること。

日本では、できていないときには指摘するけれど、できているときには言葉にしない傾向があり、「何も言われないということは、合ってるということ。そのくらい察しなさい」なんて公言しているマネジャーもいますが、はっきりと言わなければ、とくに外国人は「合っていないのかな!?」と戸惑ってしまいます。

日本人スタッフにも、「合っている」というメッセージははっきり伝えるべきです。また、当然ながら正しい行動ができていない場合は、「そうではなく、このようにしてください」と正しい行動を教えましょう。

石田 淳 社団法人行動科学マネジメント研究所所長

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いしだ じゅん / Jun Ishida

株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高責任者
社団法人行動科学マネジメント研究所所長。(株)ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高責任者。アメリカ行動分析学会(ABAI)会員。日本行動分析学会会員。日本の行動科学(分析)マネジメントの第一人者。

アメリカのビジネス界で絶大な成果を上げる人間の行動を科学的に分析する行動分析学、行動心理学を学び、帰国後、日本人に適したものに独自の手法でアレンジし「行動科学マネジメント」として展開させる。

精神論とは一切関係なく、行動に焦点をあてた科学的で実用的なマネジメント手法は、短期間で8割の「できない人」を「できる人」に変えると企業経営者や現場のリーダー層から絶大な支持を集める。現在は、日本全国の人材育成、組織活性化に悩む企業のコンサルティングをはじめ、セミナーや社内研修なども行い、ビジネスだけでなく教育、スポーツの現場でも活躍している。日経BP「課長塾」の講師でもある。

主な著書に累計部数40万部のベストセラーとなった『教える技術』『〈チーム編〉教える技術』『マンガでよくわかる 教える技術』『マンガでよくわかる 教える技術2<チームリーダー編>』、大判の『〈図解〉教える技術』(すべて小社)ほか多数ある。趣味はマラソンとトライアスロン。

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