データで見る「選挙余剰金」全議員の調査結果

余剰金の額や扱い、議員側の回答を一挙公開

また、余剰金の扱いがどのように分布しているかを見ると、自民、立憲、国民の主要3政党では「余剰金の行方を公開資料で確認できない」議員が4割前後と、おおむね似た水準であることがわかります。共同取材チームによる取材でも、使途が明確になっているケースもあれば、不明瞭な回答に終始するケースも、与野党を問わずありました。

自民、立憲、国民の主要3政党では「余剰金の行方を公開資料で確認できない」議員が3〜5割

主要3政党とは異なり、公明党と共産党は「余剰金の行方を確認できない」議員が目立って少ないことが見て取れます。「確認できない」がゼロだった公明党の議員のうち13名は、余剰金を公職選挙法第197条(選挙運動に関する支出とみなされないものの範囲)によるものとして説明しています。たとえば同党の竹谷とし子議員(参議院・東京選挙区)は以下のように回答しています:

ご指摘の差額分は、選挙運動用自動車に関する支出等のため、公職選挙法第197条の規定に基づき選挙運動費用収支報告書の支出の部には記載しておりません。しかし、実際の支払いに際しては公明党都道府県本部からの寄附等で賄っているため、収入の部には、この金額が算入されております。よって、収支報告書上は差額が生じますが、全て法令に則り、適正な処理を行ったものであり、余剰金はありません。

 

余剰金の使途は公選法・政治資金規正法ともに規定がない

そもそも今回の問題はどこにあるのか。国会議員は、自らの選挙において得たお金・使ったお金の収支を公開する必要があります。収支は大きく、候補者が選挙資金として集めた「収入」、事務所の設営などに使った「支出」、支出のうち看板やポスター代などを税金で肩代わりする「公費負担」に分けられます。最終的な収支は「収入 -(支出 - 公費負担)」で表されますが、ここで余ったお金=余剰金の使途に関しては公職選挙法・政治資金規正法ともに規定がなく、各議員のモラルに任されている実情がありました。共同取材チームは、各議員の選挙運動費用収支報告書および政治団体の収支報告書である政治資金収支報告書を調べ、その全容に迫りました

最も透明性の高い処理は、自身の政治団体に入金(寄付)することです。この方法なら、政治資金収支報告書によってその後の流れも把握することができます。たとえば安倍晋三首相や枝野幸男立憲民主党代表などは余剰金と同額を自身の政治団体に入金しています。余剰金とほぼ同額の寄付や、余剰金の全額が選挙運動の「その他収入」によって相殺できるケースなども含めると、192人の議員が問題のない処理を行なっていることが確認できました。

一方で、余剰金の全額、または一部の使途を公開資料で追うことができず、余ったお金の行方がわからない議員は268人を数えました(余剰金が5万円未満のケースを除く)。そうした議員の余剰金は総額で約9億5000万円に達しています。中には本人名義のお金として政党支部に貸し付けているケースもありました

現職の閣僚においても、その対応はまちまちです。安倍晋三首相や菅義偉官房長官は、余剰金とまったく同じ金額を自らの政治団体に入れ、透明性を確保していました。しかし麻生財務相や河野外相など8人の閣僚は余剰金の行方を確認できず、取材に対する回答も「法令に従って適正に処理」や非回答が大半を占めました

選挙の余剰金は扱いを規定する法律が存在しないため、行方不明になったことでただちに違法となることはありません。しかし、余剰金には国(地方選挙の場合には地方自治体)が負担する選挙ポスター代などが含まれています。余剰金を公選法の「抜け穴」として使っているという証言もあり、制度設計を含めた議論の必要がありそうです。

(注)これまでの記事では、余剰金の行方を公開資料で把握できない議員数を267人としていましたが、その後の取材・集計の結果、こうした議員は268人だったことが判明しました。

共同取材チームは、本間誠也、当銘寿夫、木野龍逸、宮本由貴子、伊澤理江、穐吉洋子ら(以上、Frontline Press)、岩井奉信、安野修右、山田尚武(以上、日本大学法学部)で構成しています。

Support by SlowNews

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
  • 離婚親の選択
  • 御社のオタクを紹介してください
  • 競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 若者のための経済学
トレンドライブラリーAD
  • コメント
  • facebook
-

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

ログインしてコメントを書く(400文字以内)
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
ひと烈風録 平井一夫<br>前会長の「ソニーとの決別」

ソニーを立て直した名経営者は、会長に退いてからたったの1年で会社を去った。今後はビジネスの世界から身を引き、日米の子どもたちの就学を支援するという。自らが望む人生を始めて歩み出す平井氏。そのユニークな半生を振り返る。

  • 新刊
  • ランキング