丸ノ内線「方南町駅」、本線直通で何が変わるか 始発列車が増え、乗り換え駅での混雑緩和も

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方南町駅を利用する通勤客は、隣の中野富士見町駅で降りて始発列車の列に並ぶ人が多い。座っていきたいという要求以外に、荻窪駅から中野坂上駅に到着する列車が激しい混雑で乗るのに苦労するという理由もある。

8時30分ごろの列車に乗った経験から言えば、中野富士見町駅の列に並んでいるのは各扉数人レベルで、そこに方南町からの乗客が10人レベルで加わる。違う駅の利用者によってホームが混雑することに、不満を抱いている中野富士見町駅利用者もいるだろう。

中野坂上の混雑も緩和へ

一方の方南町駅は、ラッシュ時はホームに人が入れないほど混雑している。3両編成ではキャパシティオーバーであることは明白だった。中野坂上駅でも、支線から本線への乗り換え客が少なくなるので混雑は減る。直通運転のメリットは大きい。

前述したように、中野車両基地への連絡線は中野富士見町駅から分岐する。ただし分岐するのは方南町行きの線路からなので、車両基地から池袋行きのホームに入るには、一度方南町行きの線路を横断しなければならない。前述のように方南町駅の利用者は多く、彼らを輸送するための3両編成の車両の送り込みが阻まれる。

中野車両基地で休む3両編成列車(筆者撮影)

それなら一度方南町行きのホームに送り込み、方南町駅まで回送して始発としたほうが、路線全体の混雑緩和のためにいいと判断したのかもしれない。東京メトロに聞くと、たしかに中野富士見町―方南町駅間を回送し、方南町始発とするとのことだった。

現在、丸ノ内線では新型車両2000系が02系の置き換えとして増備されているが、支線用は当面3両編成が残るという。しかし効率面で言えば全列車6両編成のほうが上である。沿線住民のひとりとして、今後も動向に注目してきたい。

森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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