「発言小町」読売新聞社が手がける掲示板の実像 1日2000件の投稿が語る女性の本音
――どうやって好きな相手に話しかければいいか、みたいな?
そう、まさに集合知ですよね。どこの誰かは知らないけれど、みんなが一体になってトピ主さんの体験を疑似体験したり、後押ししたりする。そういう世界観をネット上で維持する意味は、きっと大きいんじゃないでしょうか。
――小坂さんご自身、普段どんな気持ちで発言小町を見ていますか?
ユーザーとして投稿した経験はありません。ただ、編集部として投稿したことは一度あって。「レスが付かなかったらどうしよう……」と緊張しましたね。
トピのなかには、一つもレスがついていないものもあるんですよ。そういうトピ主さんの不安が分かったかもしれません。でも、そういうトピを見つけて育ててくれる人が、時々現れるんですよね。
――育てるとは、どういう意味でしょうか。
レスの達人みたいな人がいるんです。その人がレスをつけると、そこから良い感じに他の人からもレスがつき始める。そうするとトピが育っていくんです。レスやアクセス、お気に入りの数が多いものが、必ずしも良いトピではないというのが面白いところなんです。
――リアルの会話で、「話自体が面白くても良いツッコミが入らなければ盛り上がらない」みたいな感じですね。
まさにその通りです。レスも含めて一つのストーリーなので、どういうレスが付くかでトピ自体の盛り上がりが変わるんです。レスの達人は、早い段階で盛り上がりそうなトピを見抜く力があると聞きます。
我々スタッフの中でも、「このトピは育ててあげたいよね」とか、「いいレスを書いてくれるユーザーを大事にしていきたいね」という会話がよく交わされているんですよ。
――これまでに、小坂さんが好きだったトピがあればぜひ伺いたいです。
印象的なのは、2010年3月の「桃太郎と金太郎はどっちが強いんですか?」というトピです。読売新聞本紙でも、発言小町のトピを取り上げる記事を書きました。
昔ばなし研究所所長の小沢俊夫さんや、児童文化研究家の加古里子さんに取材し、検証していただいて(笑)。「そんなこと、分かるわけないじゃない」と言いながらも、真剣に考えてくださったのを覚えています。