ファーウェイつぶしは中国の5Gを叩く手段だ 中国の生産技術の進歩を恐れるアメリカ

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中国が「信頼できない企業リスト」を制定するという情報は、多くのアメリカの科学技術企業をかなり緊張させた。実際、グーグル、フェイスブックなどの大手IT企業が相次いでファーウェイとの関係を断つことを公表する中、6月10日にアメリカの半導体大手インテルはむしろファーウェイのために弁解し、「(アメリカの)ブラックリストに入れるべきではない」と主張したのだ(6月11日付チャイナ・デイリー)。

インテルは営業収益のおよそ4割を中国で稼いでいる。中国の「信頼できない企業リスト」に入れられ、中国企業との取引が減ることでインテルの収益は間違いなく激減する。さらにアメリカの半導体大手クアルコムの収益の6割も中国に依存している。こうしたハイテク企業はいままでのビジネスが維持できなくなる問題を極めて真剣に考えるだろう。これはまさに中国側の狙い通りであった。

レアアースに至っては、中国が本当にこの戦略物資の対米輸出を制限すれば、アメリカに与える衝撃はとても大きい。5月23日のニューヨークタイムズは、「レアアース加工において最もカギとなる、レアアース酸化物を金属に転化させる段階では、中国が完全に主導的地位を占めている。中国のその低いコストと高い生産能力によって、他国企業は自らの工場を投資・設立することを極めて懐疑的にさせられるほどである」と指摘している。

中国の税関データによれば、2018年、米国が購入したレアアースは、中国の輸出量の3.8%しかないという。これはすなわち、中国がもしレアアースの米国への輸出を制限すれば米国への打撃は極めて大きいが、中国自身の傷は極めて小さいことを意味する。現時点でアメリカ側は何ら対抗手段を見出すことができていないのだ。

大混乱したパナソニックの現地法人

中国が対抗措置を講じたことで、「アメリカ政府が禁止すれば、中国企業との取引を中止できる」という今までの常識は、もう通用しなくなるかもしれない。「一個世界、二個系統」(1つの世界に2つのシステム)が併存する米中ハイテク冷戦は、ここに来て明らかに現実味を持つようになってきた。

このことは日本企業にとっても無関係ではない。アメリカのファーウェイ制裁に対して、ソフトバンクやKDDIなどの通信キャリアは、ファーウェイ製スマホの排除を明らかにした。日本国内だけならそれでいいのかもしれないが、パナソニックや東芝などのように中国で巨大なビジネスをしている企業は、簡単にファーウェイ排除をできるのだろうか。

5月23日に日本メディア各社は、「パナソニックがファーウェイとの取引を徹底的に中止する」(5月23日付共同通信、時事通信など)と報じた。だが、中国企業への部品供給などをいきなり停止するのは容易ではなく、この報道は中国内でも波紋を呼び、実際にパナソニックの中国現地法人にかなりの混乱を引き起こした。中国にもアメリカにもビジネスをしている日本企業は大きな試練に直面していくだろう。

陳 言 在北京ジャーナリスト

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ちん げん / Chen Yan

1960年、北京生まれ。1982年南京大学卒業後、経済日報入社。日本語通訳を兼ねて日本経済、アジア経済を報道。1989年から日本に留学、1999年に慶応義塾大学経済学研究科博士課程修了。2003年に中国に帰国し、月刊『経済』主筆、『中国新聞週刊』主筆を経て、2010年から日本企業(中国)研究院執行院長。2019年1月から月刊『人民中国』副総編集長。『中国鉄鋼業における技術導入』(萩国際大学出版会)など多数の著書がある。

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