ファーウェイつぶしは中国の5Gを叩く手段だ 中国の生産技術の進歩を恐れるアメリカ

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この時点で中国側は大いに落胆していたが、それでもワシントンでの第11回交渉(5月9日~10日)に臨んだ。しかし、アメリカは新たに華為技術(ファーウェイ)を輸出規制リストに入れ、米中摩擦を経済貿易の範囲外にまで拡大させた。そしてトランプ大統領は、ファーウェイ問題も協議の中に含む、と言ったのだ。

1年余りの交渉を通じて中国が最後に分かったのは、アメリカは貿易赤字問題よりも、中国の生産技術の進歩、特に次世代通信規格「5G」において中国が先行することを許さないという本音であろう。ファーウェイを「エンティティリスト(輸出規制リスト)」に入れ、ファーウェイをつぶすことで、5Gやそれに関連する自動運転、AI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)などの先端技術開発をすべて遅らせ、アメリカの覇権を維持しようという狙いだ。

ホワイトハウスは「アメリカの5Gネットワーク建設計画に2750億ドル(約30兆円)を投入すれば、米国のGDP(国内総生産)を5000億ドル(約55兆円)増加させ、同時に300万人の雇用を生み出す」と発表している。一方、中国情報通信研究院のレポートでは、「中国の商用5Gはだいたい2020~2025年に本格普及し、経済生産額で10兆6000億元(約170兆円)の直接成長および24兆8000万元(約400兆円)の間接成長と300万人超の雇用を創出する」と推定している。

ファーウェイつぶしは中国の5Gを徹底的に停滞させるための手段であり、両大国はともに5Gを国家発展の中心に据えて、激しく競争しているのだ。「欲望に際限がない」と表現した冒頭の白書は、アメリカに徹底抗戦しようという中国の決意さえ感じさせる。米中関係は貿易摩擦から長期的なハイテク冷戦にエスカレートしたとも言えよう。

アメリカを震撼させる2つの武器

これまでも、アメリカが追加関税を行うたびに中国も反撃し、報復関税を行ってきた。しかし、それらは完全に受動的な対応であり、さらには中国の対米輸入製品への課税額はアメリカよりも小さく、奇襲的な効果はなかった。

だが、今回は異なる。中国はアメリカに2つの武器を見せつけた。1つは、「信頼できない外国企業リスト」の作成で、もう1つが「レアアースの輸出制限」である。このどちらもアメリカ側には予想外だったに違いない。

「信頼できない外国企業リスト」は、ファーウェイに打撃を与えた、アメリカの「輸出規制リスト」に直接対抗するものだ。白書を公表する前日の6月1日、中国商務部はこのリストの作成方針を公表。6月8日には、国家発展改革委員会が「国家安全保障リスクをより効果的に防止・除去する」ためのリスト化制度を構築する、と新華社が報道した。

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