下積みがセールスポイントの麻生首相はコクも深みもなく未熟で開封されたワイン!?

下積みがセールスポイントの麻生首相はコクも深みもなく未熟で開封されたワイン!?

塩田潮

 61歳の秋元順子さんが歌う「愛のままで……」が大ヒット中だ。厚みと情感に満ちた豊潤な歌唱で魅了する。24歳で生花店主と結婚、家事と子育てと店の手伝いのかたわら40歳から歌の世界に入り、20年の下積みを経て大輪を開花させた。「熟成期間と多くの出会いがあったから今がある」と言う(2月5日付日本経済新聞夕刊「ニュースな人ヒト」)。
 「熟成期間」という言葉から、つい苦境の自民党を連想してしまった。最近の3人の首相の迷走ぶりを見ていると、政治指導者に必要な熟成の時間を持たないまま政権を担えば、未熟で開封されたワインのようにコクも深みもない政治になると思い知らされる。

 一方、民主党は結党以来、野党が13年。小沢代表や鳩山幹事長は自民党を離党して16年になる。この時間の長さは政権政党となるための熟成期間、民主党の政治家たちが政権担当者となるための熟成期間として十分かどうか。答えは次期総選挙で判明する。未熟なリーダーの使い捨てで痩せ細る自民党、失敗や挫折や迷走の中で学習を重ねてきた民主党という違いが見えるが、政治の人材という点で重要なのは熟成期間の過ごし方である。処世、保身、立身の術でなく、志を磨き、人間を知り、政治の本質を学び取ったかどうかだ。

 麻生首相は就任前に長い不遇の時代があった。「冷や飯の食い方は麻生に聞け」と自ら語り、下積み経験がセールスポイントと喧伝している。だが、郵政解散で得た衆議院での多数に乗って首相の座を手にしながら、5日の国会答弁で「自分は郵政民営化に反対だった」と平気で民意無視の言葉を口にする。熟成どころか、民主主義の基本原則も身につけず、下積みで何を学んだのかと疑う。
「自民党が与党のままで……」とパワー復活に期待する国民は少なくないが、「キャンドルの灯」は今や風前の燈である。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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