時速360km、英国「HS2」の車両受注は誰の手に? 5者が応札、日立はボンバルディアと連合

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HS2は最高時速360kmでの運転を計画しており、現在は在来線で約80分を要しているロンドン―バーミンガム間の所要時間は45分となる見込み。列車はHS2から在来線に直通するため、スコットランド方面への所要時間も短縮される。

バーミンガムまでの第1フェーズに続き、第2フェーズはバーミンガムからマンチェスター、リーズを結ぶY字型の路線を建設する計画で、こちらは2033年の完成を目指している。第1フェーズとの合計総工費は560億ポンド(約7兆7400億円)に達する。

応札者の顔ぶれは?

欧州各国では高速鉄道網が発達し、フランスのTGV、ドイツのICEは主要都市をくまなく結んでいるほか、イタリアやスペインも高速新線が国内各地をつないでいる。しかし、前述のとおりイギリスにはこれまで本格的な長距離の都市間高速鉄道がなかった。

そんな背景もあり、これまで高速車両を製造し続けてきた各社にとってHS2の車両プロジェクトは「数少ない前途ある事業」として何としても落札したい案件となっている。

HS2計画を推進する政府出資の会社、HS2社は投入車両について「最高時速360kmで走れる高速列車54編成以上の設計、製造と保守業務の引き受け」という条件を提示し、2017年11月に候補となるメーカー5社を公表。その後1社を加え、6社に対し入札を求めた。契約額は総額27億5000万ポンド(約3800億円)に達する大事業となる。

応札した6社の内訳は以下のとおりだ(順不同)。

シーメンス(ドイツ)
アルストム(フランス)
日立レールヨーロッパボンバルディア(カナダ)のコンソーシアム
タルゴ(スペイン)
CAF(スペイン)

日立とボンバルディアは共同のため、応札者は全部で5者となった。今年2月に欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が合併承認を却下したシーメンスとアルストムは、それぞれ単独で応札した。CAFは2018年に入札候補者に加えられた。

イギリスの案件への候補者ラインナップとしては妥当なところだが、世界最大の鉄道メーカーとなった中国中車(CRRC)の名はない。CRRCは過去数年にわたり、ドイツ・ベルリンで2年おきに開かれる国際鉄道見本市「イノトランス」をはじめ、イギリス開催の鉄道展示会などへHS2への関与を念頭に積極的に出展していたが、今回の入札には絡めなかった。

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