トヨタ「新型スープラ」に込めた愛車という概念 17年ぶりにスープラが復活した背景とは?

拡大
縮小

前出の多田氏は、2018年のスイス・ジュネーブショーでレース仕様として新型スープラを世界初公開して以来、新型スープラ誕生の背景について2つの点を強調する。

1つは、BMWとの協業。トヨタ上層部からいきなり「ミュンヘンへ飛べ」との指示があり、BMW Z4とスープラの共同開発がスタートした。ミュンヘンにはBMW本社がある。トヨタとして、ドイツのスポーツカー作りを学ぶという姿勢とともに、開発コストと製造コストの低減を狙うのは当然だ。スープラ単体での開発・製造では、社内の稟議が通らないのだろう。

2つ目は、アメリカからの声だ。多田氏は「アメリカからの要望が、スープラ復活の大きなきっかけとなった」と語っている。

新型スープラのターゲットは?

アメリカでは、1960年代にフォードマスタングが「ポニーカー」と呼ばれたほか、1990年代には三菱エクリプスが「セクレタリーカー」と呼ばれてヒットするなど、男女の壁を越えて2ドアスポーツカーの需要が高い。 

新型スープラはユーザーからどのような評価を下されるのだろうか(筆者撮影)

また、1990年代末から2000年代初頭、ロサンゼルスの中国系マフィアによる非合法な公道レースなどがきっかけとなり、日系チューニングカーブームが到来。一時的だったが、三菱ランサーエボルーション、スバルWRX STI、ホンダシビック、そしてスープラの需要が一気に高まった。

その当時、ジェネレーションX、またはジェネレーションYと呼ばれた世代が、2019年時点で経済的にゆとりのある中高年になっている人が多く、そこが新型スープラのターゲットユーザーの1つだ。

17年ぶりに復活したスープラ。これから世界各国でのデリバリーが始まるが、はたてしてどのようなフィードバックがユーザーから上がってくるのか。実に興味深い。

関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
日本製鉄、あえて「高炉の新設」を選択した事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
ヤマト、EC宅配増でも連続減益の悩ましい事情
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
倒産急増か「外食ゾンビ企業」がついに迎える危機
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
Netflixが日本での「アニメ製作」を減らす事情
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
  • 新刊
  • ランキング
東洋経済education×ICT