すぐ辞める若者の「扱い方」の超基本3ステップ

若者の不満をためないコミュニケーション

ステップ2:共感と安心を育むコミュニケーション

次に必要なのは、彼らとの本質的な信頼関係を築くことです。もう少し詳しく言うと、他人の反応におびえたり、羞恥心を感じたりすることなく、自然体の自分をさらけ出すことのできる環境を提供することです。

これは、「心理的安全(Psychological Safety)」 という心理学用語に基づいた考え方です。ご存じかもしれませんが、グーグル(現:アルファベット)が、「プロジェクトアリストテレス」などの成果報告として発表したことで、この「心理的安全」という言葉が注目を集めました。

4年もの月日をかけて実施した大規模労働改革から「心理的安全性は、成功するチームの構築に最も重要なものである」 との結論を導いたのです。若者にとって「何を言っても否定せずに受け止めてくれる」居場所作りが次のステップです。

1、一人ひとりを意識した個人レベルの対応

いつもしかめっ面で怒ってばかりの厳しい師匠が、最後の最後で「よく頑張ったな」とポツリ。またしかめっ面で歩き出す師匠の背中を、目に涙を浮かべた弟子が追いかけていく……。若者はこんな「ドラマチックな光景」は望んでいません 。

渾身の大褒めよりも「プチ褒め」

渾身の大褒めよりむしろ「プチ褒め」が望まれています。とにかく質より量。個の長所を見つけて褒めるのが理想ですが、「プチ感謝」でも十分効果的。例えば報連相には必ず「ちょい足し」して返す。言葉はなんでも構いません。「よくなったな」と褒めてもいいし「大変だったろう」と共感してもいいし「助かったよ」と感謝を伝えてもいいでしょう。

2、上から目線ではないフラット目線

叱るべきときは叱る、間違いは正すのがオトナの役目です。しかし、「怒られ慣れていない若者」をどう叱ればいいのか。一歩間違うと辞めるに直結してしまう、一触即発の難しいコミュニケーションともいえます。

当然ながら、上から目線で理不尽に怒鳴り散らすのはもってのほか。「怒る」のではなく「叱る」でなければなりません。そのためには「叱る基準」をブレさせないことです。褒めるときは相手の個性に合わせる。叱るときはフラットで一律の基準を持つ。この使い分けです。

例えば「今日中に提出しなさい」と指示した資料が、いつ出てきたらあなたは叱りますか? 定時を過ぎたら、あるいは0時を過ぎたらでしょうか。どちらでも構わないのですが、とにかく「これを破ったらイエローカード」というルールを設定して示しておく必要があります。

3、レスポンスの重要性

自分が何を言っても大丈夫だと思える「心理的安全」の境地に若者が達するためには、できるだけアウトプットをさせることが重要です。しかし若者ははっきりとした自己表現を避ける傾向があります。そんな若者の考えをアウトプットさせるために参考になるのが、最近流行りの「消える系」SNSではないでしょうか。「消える系」というのは、一定の時間で投稿が削除される、インスタグラムの「ストーリーズ」のような類です。

職場でも、このような消える系の環境を整えてあげることはできます。賛否を問うたり、自分の考えとしての発言を求めたりするのは、いったん封印します。そして判断や決済はリーダーである自分が下すものだとはっきり示したうえで、「感想」を聞いてみましょう 。どう感じたかには責任は生じません。議事録にも残りません。

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