日経平均が暴落する危険性は全く消えていない アメリカの株式市場は浮かれすぎている

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仮に7月に連銀が利下げを小幅行なうとしても、その時にはすでにアメリカの経済が後退期に突入する気配を明確にしており、それに対してわずか1回の利下げで景気悪化が止まるわけではなかろう。ある意味、経済の暗転を追認した利下げとなる形だが、金融政策とはそうした後追いになるものだ。

次の米中通商交渉の行方だが、引き続き先行きは見えない。6月28・29日のG20首脳会合(大阪)を機に行なわれるとみられる米中首脳会談でも、事態は打開しないだろう。では前述の中国商務省の発言はいったい何なのか、ということだが、中国側としては交渉のドアは開けてある、という建前を示しているだけだ。「アメリカ側が頭を下げてくるのであれば、話し合いに応じてやっても良い」という意味合いだと考える。

さらに対メキシコでは、述べたように、メキシコへの追加関税措置は、メキシコ側が国境警備の強化などの対応策を提示したことで、無期限の見送りとなった。

しかし、今回、ドナルド・トランプ大統領が対メキシコ関税引き上げを提示したことによって市場に生じた波乱の本質は、これまでの市場が「アメリカの対外通商政策で要注意なのは対中国だけだ」と決めつけ、楽観的な空気が漂っていたところ、対メキシコという意外な弾が飛んできてうろたえた、というところにあると考える。今後「対日」「対欧」でも、アメリカが通商交渉で強硬な姿勢を取るリスクはあり、市場は通商問題ではこれからもたびたび揺らされそうだ。

アメリカの景気悪化は雇用や消費でも顕在化?

(中国だけではなく)世界的に景気の悪化基調に注意を要すべきだ、という点は、前回のコラム「日本の株価が米中貿易戦争で下がると読む理由」でも述べた。特にドイツのIFO指数やアメリカのISM指数など、企業の業況感を示すデータが世界的な不透明感から悪化しており、企業行動が委縮して世界的な設備投資や建設投資の減退が生じ、それがさらに日本からの投資関連製品の輸出減を引き起こす、という点も、前回指摘した通りだ。

実際、先週公表された経済データでも、5月のISM非製造業指数は4月の55.5から56.9に改善したが、同製造業指数は4月の52.8から小幅上昇が見込まれていたところ、52.1に低下した。

それでも、こうした警戒的な見解に対し、「アメリカで最大の需要項目である個人消費については、雇用が堅調なため好調が維持され、多少設備投資や建設投資などが落ち込んでも、経済全体は全く揺らがない」との楽観論も聞こえる。

ところが、先週の雇用関連の諸統計は、そうした楽観論に水を差すようなものだった。給与計算サービスを提供するADP社がまとめた、雇用者数の統計では、4月の雇用者数が前月比で27.1万人増えていた(修正後のデータ)ところ、5月はわずか2.7万人増にとどまった。

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