リクシル、対立の根底に海外買収攻勢の「失敗」 問われているのは「ガバナンス」だけではない

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工事進行基準とは、複数年度にまたがる長期プロジェクトの収益管理について、進捗度に応じて売上高や経費、利益を計上するやり方のことだ。潮田氏と瀬戸氏の主張は明らかに食い違っているが、第三者の専門家の目にはどう映るのか。会計評論家の細野祐二氏は次のように指摘する。

「潮田氏の釈明は論外だが、瀬戸氏の説明もおかしい。ペルマスティリーザの実態を把握していたのなら、損失を認識した時点で計上するのが会計の原則。工事進行基準うんぬんは言い訳にならない」

言い換えれば、潮田氏と瀬戸氏はともにペルマの実態を把握できていなかったか、あるいは実態を知りながら損失計上を先送りにしていた可能性がある。少なくとも、そう疑われてもやむをえないだろう。

グローエののれん約3600億円の不安

6月25日の株主総会で問われているのは、会社側と瀬戸氏側の推薦候補のどちらがよりガバナンスを利かせられるのかという点だ。ただ、どちらに軍配が上がったとしても、新経営陣は海外子会社の不透明な実態を徹底調査し、ステークホルダーに開示する必要がある。

LIXILのバランスシートにはグローエ買収で生じたのれんおよび無形資産約3600億円が計上されている。そのグローエの事業利益率は10%(2019年3月期)と、グループきっての高収益企業だ。しかし仮にペルマと同様にのれんの一括償却を迫られるようなスキャンダルが起きれば、今回の騒動を上回る衝撃をもたらすことになる。

岩村 宏水 フリージャーナリスト

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いわむら ひろみ / Hiromi Iwamura

大学卒業後、大手出版社に19年間勤務。うち10年余りを北京と香港で過ごす。2010年に独立。現在は東京を拠点に取材・執筆を続けている。

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